快楽を呼ぶ悪魔 | ナノ

快楽を呼ぶ悪魔

01


――……、


「ん、う・・・」





あずみの口から、吐息が漏れた。
それと同時に、紳も目を覚ます。


……あれ?俺、いつの間に寝たんだ?


隣を見ると、肌寒いのかあずみが紳の胸にすり寄っている。
その様子を見て、紳は微かにほほ笑んだ。


そして、自分の手の甲を見る。
書かれている数字は、【2】。
いつの間にか、日付が変わってしまったらしい。
外に目をやると、うっすら外が明るくなってきていた。


「んっ、ふふ・・・」


あずみの口から、さらに声が漏れる。
微かに、笑っているようだった。


なにか、いい夢でも見ているのか……?
こんな朝が、ずっと続けばいいのに……。





でも、それは叶わない。
紳が帰らなければ、紳の父親――魔王は、本気で地球を滅ぼすだろう。





「ろ、に・・・」

「……ん?」


あずみの唇が、動いた。
あずみを見ると……目じりから、一筋の涙がこぼれた。


「あず、み・・・?」

「ごめ、ね・・・」

「…………?」


寝言……?
あずみは涙をこぼしながら、何かを必死に呟いていた。





「……ヒロ、兄・・・大好き、だっ……」

「……っ、!」





あずみがそう呟いた瞬間、部屋の空気が凍りついた。



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