快楽を呼ぶ悪魔 | ナノ

快楽を呼ぶ悪魔

02


「わあっ!お風呂ひろーいっ」


声が、反響する。


あたしは、紳に言われるがまま、お風呂に入った。
湯船を泥水で汚すわけにもいかないから、先に頭からシャワーをかぶる。


「ふあっ!生き返るっ・・・」


シャワーで体の泥水を落としていく。
うー・・・。気持ち悪いの、なくなってきた。


「に、しても・・・。紳、なんでこんなところに住んでるんだろ?」


シャンプーを手にプッシュして、それから頭にのせる。
シャンプーが目に入らないように注意しながら、あたしはお風呂場をきょろきょろと見回した。


「紳、どこに帰ってるのかって思ってたけど……。こんないいマンション借りてたんだー」


悪魔なのに、お金はどうしたのか、とか・・・恐ろしいから考えるのやめた。
なんか……聞いちゃいけないこと聞いちゃいそうだし。


「ふーん、んー♪」


あたしは、鼻歌なんか歌いながら、シャンプー、コンディショナーって具合に、頭を洗っていった。
そして、紳に借りたタオルを、手にとった。
体も、洗っちゃおうって思って。





「・・・ご機嫌だな」

「だって極楽なんだもんっ♪……って・・・!!ひゃああっ!?」


急に聞こえた声に、なんとなしに返事をする。
……それから、異常に気がついた。


ここ、お風呂場ですよっ!?
ありえない、と思いながら、くるりと振り向くと……。
紳が、服を着たまま……あたしの横に、立っていた。


「な、なあっ・・・!?」


慌てて胸元を手で隠そうとしたのに、その手は紳によって抑えられてしまった。
そのまま、壁際に押し付けられる。


「いい眺めだな」


クスって、紳が黒い笑顔で笑った。


「し、紳・・・な、なに・・・してんの!?」


あまりの恥ずかしさに、紳の顔が見られない。
あたしは、泣きそうになりながら、視線を落とした。


「洗うの、手伝ってやろうと思って」


ぐいっ


紳が、あたしの両手を頭の上に束ねて……。片手で、抑えつけた。
そして、空いた左手であたしの顔を掴み、無理やり自分の方にむかせる。


「い、いい・・・よっ!自分で、洗うっ・・・!!」


紳に、真っ裸を見られてる。
恥ずかしすぎて、死にそう。


「遠慮するな」


紳は、ボディソープのふたを、片手で器用に開けた。
そして、あたしの胸元に、明らかに多すぎる量を垂らした。


「ひゃわあっ!」


冷たさに、体が震える。
紳は楽しそうにあたしの肌に手を伸ばした。


「あ、や・・・め、」


「お前は……だれのものだったかな?」


紳が、ボディソープを指に絡ませながら、言った。


「あ・・・あ……、」

「わかれば、よろしい」


にこり、と笑った紳。
紳は、すくい取ったボディソープを、なんのためらいもなく胸のふくらみに塗りつけた。


ニュル・・・


「ふぁ・・・、」


口の端から、甘ったるい声がこぼれる。
こんな状況なのにっ……。


紳が、あたしの顔を見て笑った。


「抵抗・・・しないのか?」


そう言って、唇を近付けてくる。


キス……される。


抵抗なんかしないよ・・・。
だって、あたし紳のこと……。





「……いいんだな?」


紳の唇が、あたしの唇まであと数ミリというところで止まった。
顔をそむけないあたしに、紳は怪訝そうな顔で尋ねる。


あたしは、こくんって頷いた。


「そう、か・・・」

「ん、むっ・・・」


紳の唇が、あたしの唇を塞ぐ。
間髪入れずに、舌が滑り込んできた。


ニュル・・・くちゅ、


ボディソープが胸を動く音。唾液が、絡まる音。
2つの音が、官能的に浴室に響いた。


「や、う・・・ふあっ」





紳の指が突起に触れるたびに、あたしの体はぴくんぴくんって跳ねる。
その間にも咥内を隅々まで犯されて、あたしの口の端からはだらしなく唾液がこぼれ落ちた。



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