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お迎えとかVIPみたいだね♪


“ピーンポーン”
翌日、爆睡中のオレの耳に響いたのは、まぬけなチャイムの音だった。
うぅ・・・眠い。……寒いぃ。


「……朝・・・誰? まだ7時半だよぅ??」


手元の時計を見ると、ディスプレイに表示されていたのは「7:30」の文字。
7時半とか……。オレ普段ならまだネム睡眠? とにかく、深い眠りについちゃってる時間なんですけど。
オレはぐちぐち言いながら、ボーっとしつつドアを開けた。


「ぶるってするよーぅ。どなた様? オレ、いまネム睡眠中なんですけどー」

「おはようございます、永瀬くん。ネム睡眠ではなく、レム睡眠ですね。 ……それから、寒いのなら上を着てはいかがでしょう?」

「はりゃ、リッちゃん? ……あれ、何でここにいるの?」


扉の向こう側に立っていたのは、リッちゃんでした。
ほわ〜。リッちゃんってば朝っぱらからべっぴんさんですねぇ。寝癖一つないよぅ。


「昨日お約束した時間通りですが……」

「約束・・・?」

「……学校。遅刻しないように、迎えに行く約束をしていたかと思いますが・・・」

「……あ、あー! そうだったねぇ・・・」


リッちゃんに言われて思い出したのは、昨日図書館でした会話だった。





**********


「うわぁーんっ。オレ、やっぱりべんきょ全然わかんないぃー」

「まだ初日ですから・・・大丈夫ですよ」

「何がわからないのかもわかんないんだよぅ? どうしようーっ」

「今日、永瀬くんがどの辺でつまづきやすいのかわかりましたから。……明日以降は、大丈夫にします。永瀬くん、明日は学校にいらっしゃいますか?」

「い、いらっしゃる予定ですー。……が、寝坊しない自信はないですねぇ〜」


しょぼーんとしながら言うと、リッちゃんは「それなら」と口を開いた。


「朝、迎えに行きますよ」

「うえぇ? マジですかぃ?」

「えぇ。どちらにせよ、通り道ですし……伺います」

「で、でも・・・リッちゃんが朝ゆっくりできなくなっちゃうよぅ?」

「大丈夫ですよ。もともと、毎朝6時には起きるようにしていますから」

「わーお。リッちゃんすごいねぇ」





**********


そういえばそうだったよ。っていうか、オレ確か7時でケータイのアラームセットしてたはずだよね? まーた作動しなかったのかぃ。


「ごめんねぇ、リッちゃん。オレ、ちょー急いで準備するから!」

「えぇ。勉強しながら待っていますから……大丈夫ですよ」

「べんきょ!? 朝からべんきょとな!」

「そうですが? ……とにかく、早く準備してください」

「は、はーい」


リッちゃんってばにこりともしないんだからぁ。
オレが準備をはじめると、リッちゃんは玄関先に腰掛けて参考書的なものを広げた。

っていうかあれだね。何度もリッちゃんに指摘されてるけど、上半身裸で寝るのをやめれば毎朝こんな寒い思いをしなくて済むんだよね。盲点だったよぅ。


「準備は終わりましたか?」

「うんっ。準備満タンですっ」

「ネクタイはされないのですか?」

「これがオレのアインシュタイン?」

「アイデンティティでしょうか? スクールバッグも指定のものがあるはずですが……」

「紛失しちった☆」


てへぺろ〜とかなんとか言いながら舌を出すと、リッちゃんは氷点下の眼差しをオレに向けた。
うぅ・・・リッちゃんマジクールビューティ。冷たすぎて生きるのが辛い。


「頭髪服装検査の際、お持ちでないと厳重注意を受けますよ」

「ダイジョブダイジョブ。オレ、もとからこんな頭してるから、いっつも注意されるしぃ」

「直す気はないのですね・・・」

「うん。アイデンティティ♪」


言ってなかったけどオレ、ブリーチで色抜いてるから頭まっきんきんなんだよぉ。昔「そーちゃんはハーフみたいな顔だから、金髪が似合うよ」って言われてやったの。

覚えたばかりの言葉を口にすると、リッちゃんははぁ、とため息をついた。
リッちゃんと話してると、なんだか賢くなってくるような気がするよぅ♪


ガッコに着いた瞬間、オレとリッちゃんが一緒に登校したことに噛み付いてきた進ちゃんで遊びつつ、だいぶ久しぶりの朝のSHRを楽しんだ。先生にちょっと怒られちゃったけどねん。
でも、やっぱり授業は全然わかんなくて……。リッちゃんから聞いたことによると、中間考査とやらも近いみたいだしぃ……本当どうしよっかにゃー。






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