わん★わんだふる | ナノ



お弁当イベント発生!?


唯たんがエロ系の要求をしてくるだなんて思ってはいなかった。
というか、正直負けるわけないと思ってたから、唯たんがわたしになにを頼むかなんて、まったくもって分からなかったんだ。





……でも。


さすがに、これは予想外だった。
唯たんからわたしへの要求が、まさか「弁当作って」だなんて。


自分で言うのも悲しいけど、わたしは決して料理上手ではない。
あずみに頼むなら分かるけど……なんで?
この間のホットケーキ、おいしかったとか・・・かな?





「弁当・・・?」


いぶかしげに聞き返すと、唯たんは一瞬目を動かして、こくんと1度頷いた。……聞き間違いじゃなかったのか・・・。


「なんで弁当なんだよ!」

「い、生田・・・? 千夏の料理の味、分かってる……!?」


的場と奈緒がそんなことを言うのも、無理はないと思う。
……いや、奈緒にはちょーっとムカッとくるけどね☆
わたしの料理の味は、なんだい?


「べ、弁当作って?」

「うー、ん……別に、生田がそれでいいならいいけど……。……なんで?」

「うぇっ!? あー、っと・・・。オレ、いつも購買だし……たまには、人が作った弁当食べたいなって……。いい機会だし……その、っ……。別に、オレが彼女にしてほしいこととかそう言うんじゃなくて……。……って! 違う!」


理由を聞いた瞬間、しどろもどろになった唯たんは、真っ赤な顔してなにやら弁解を始めた。
その身振り手振りが……か、かわいーっ!!!
目を泳がせたり、唇を噛んだり、なにかを言った瞬間に口元をバッと覆ったり……。
萌ゆる。萌え萌えする……。


「……と、とにかくっ!!!」


唯たんの行動に頬を緩ませないように必死になっていると、バチンと手を叩いた唯たんが、わたしの腕をぎゅっと掴んだ。
それから、一瞬うつむいた後、おずおずとわたしを見上げる。


――――――っっ!!!
鼻血出てない!? これわたし、大丈夫!?


「べ、弁当・・・作ってきて欲しい。それ、オレからのお願いにしちゃダメか?」

「も、ちろん・・・。そんなことで、いいなら・・・明日から、作ってくるね」


やっべー。
呼吸が荒くなりそう……。
なんかもう、最近の唯たんは本当やばいっ!!!
なんでこんなにキュンキュンするんだろ。


「じゃ、じゃあ……よろしくなっ!!」


わたしが許可を下した瞬間、唯たんは心底ホッとしたような顔をした。
それから、ふにゃりと笑いました。


鼻血を噴かなかったわたしを、誰か褒めてください。








**********


「……あれー? 千夏、今日お弁当2つなの?」

「あー・・・。あずみは、昨日いなかったからね。片方は生田の分」

「えぇっ!? ……あっ! ゲームの・・・?」

「そうそう。……千夏、よく作ってきたね?」


そして、次の日の昼休み。
わたしが2つのお弁当箱を持っていることに疑問を抱いたらしいあずみが、小首を傾げて問いかける。
その質問に答えたのは、どうやら昨日思う存分篠崎と愛し合っちゃった奈緒だ。
なんで分かるのかって……?
首の後ろに、キスマーク付いてるから。
たぶん奈緒は気づいてないんだろうけど……。


「自分の分も作ってきたの?」

「うん。せっかくだし」


いつもはわたしもコンビニとか購買で買ってるんだけどね。
お金ももったいないし、いい機会だから自分の分も作ってみた。
……朝、お母さんが横でわたわたしてたけど・・・。


「じゃ、生田とどっか行って食べておいで」

「……へ?」


生田に弁当を渡そうと席を立った瞬間、奈緒が笑顔で言った。
……一緒に?


「弁当手渡して、『はいおしまい』もないでしょ?」

「うーん……。でも、生田は生田で的場とかと食べるだろうし……」

「千夏が食べようって言えば、大丈夫だよう」


それから、あずみまでもがにこにこ笑いながら言う。
……ああ、可愛い。
昨日雪平くんが連れて行っちゃってあずみ欠乏症だったから、めちゃくちゃ癒される……。


でも……唯たんとお弁当かー。


……いいかもしれない。もちろん、萌え的な意味で。
ご飯つぶほっぺたにくっつけたり、口におかず含みすぎてハムスターみたいになったり……。
昼食は、萌えイベントの宝庫だよね!


「そうそう。千夏が言えば大丈夫だよ。……ね? 生田?」

「……う、あ・・・」


一瞬のうちに萌えの世界へ飛んでいたわたしは、そばでされているやり取りではっと我に返った。
千夏が言葉を投げかけたのは、もじもじする唯たん。


「……あ、の・・・笹川? ……べ、弁当・・・」

「作ってきたよ」


笑いかけて巾着を差し出すと、とたんに明るくなる唯たんの顔。
……か、わっ!!!


「……で、一緒に食べる?」

「た、食べる!」


それから、奈緒に言われたように、食事のお誘いをしてみる。……もちろん、萌え的な理由d(ry


「本当? じゃあ、行こー。中庭でいいかなー?」

「中庭、行く!」


ああ、可愛い……。
なんで片言みたいになってるの……!?
右手と右足一緒に出てる……!
なにこれ!? もう、可愛すぎて死ねる!!











「大澤、ナイス!」

「的場……あんた楽しみすぎ」

「…………なあ。おかんって・・・生田のこと……」

「いいんちょ、どうしたのー?」


上から、的場、奈緒、委員長、あずみ。
唯たんに萌え萌えすることしか考えていなかったわたしは、周囲が賑わっていることに、気づくはずもなく……。








「生田、右手と右足一緒に出てるよ? ロボットみたい」

「……! あ、あれ・・・!?」

「……右手と左足を一緒に出して……」

「え、と・・・。分かんねー・・・。いち、に、さん・・・」

「…………っっ!!」


もう、なんでもいいから、鼻血噴かなかったことを褒めてください。






×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -