戦国(幸佐)
2011/10/09 20:59


「お前には、父はおらぬのか?」

そう主に聞かれたのは、主の父の一回忌の日だった。
日が落ちかけた空の色は、最期にみた主の父のように、最後の最後まで空を燃やしている。主も、いつかああして戦場で命を燃やす日がくるのだろう。
日々鍛錬の度に大きくなる覇気の片鱗を見て、そう思う。

「実父は知らないなあ…俺を育てた人はいたけど。」

「…養父か?」

「ううん。先代だよ。」

今でこそ、猿飛佐助といえば、明るい毛色というのが見目の特徴である。だが先代は、黒く青みのある髪の男だった。闇に溶け光を奇しく照り返す様はそれこそ鴉のようだったと記憶している。




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佐助と先代の話




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