転成パロ(慶佐)
2011/10/09 18:19
「なーにしてんの?」
「旦那とかくれんぼ」
「休み時間10分で?」
「次の授業に旦那が行くまでだよ」
高校2年の佐助は、授業をよくさぼる。体調が悪いといっては休み、めんどくさいと行って休み時間に消える。あんまりその回数が多いのであやうく、1年生をリピートするところだった。
だから、幸村が躍起になって、休み時間の度に佐助を追いかけている。幸村は授業が始まれば、諦めて教室に戻るから、佐助はそれまでどこかに隠れている。必死な幸村と、どこか楽しんでいる佐助が繰り広げる光景は、密かに名物になっている。
「ばれないとこにいたつもりなんだけど」
「屋上からまる見えだったよ」
「よく俺ってわかったね」
「髪の毛が見えたからねー」
「…迂闊だ」
何度地毛だと言っても了承してくれない教師に嫌気が差したのと、なんかもう面倒くさくなったのとで黒染めという選択肢を捨てたのは、もう随分と前の話だ。
その選択肢が今障害物になるとは。しかも幸村は廊下を走り回るだけだから、屋上から見つけられるのは盲点だった。次からは帽子でも被ってみようか、と思った。
「授業でたらいいのに…」
「…知らない先生の授業はやだ」
逆に言う知ってる先生とは、片倉や武田、上杉、島津、といった面々のことだ。佐助が厭う知らない先生、とはつまり、前世で面識のない人間のことである。
佐助は現世が嫌いだった。
前世のいろはを後生大事に持ってきてしまったからかもしれないし、元々の価値観に合わなかったのかもしれない。でも確実に、いまの世相が、人が、佐助には受容できなかった。
腐れ縁というものか(腐るどころではないような気がするが)、前世でも一緒だった奴らは、大抵が上手に現世にチューナーを合わせて生きている。だからだろうか、余計に自分のそれを考えてしまっていけない。
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起承転結の起しょ(ryで力尽きる
どうしても考えれば考える程、堂々巡りで行き詰まる佐助のアンニュイ
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