ゼロ→ムゲン4 | ナノ


ゼロ→ムゲン4


静雄の心中は、臨也のことをイかせたい一心だった。
どうすれば自分に入れてくれるのだろう、と。
やはり自分は男だから無理だったのか、判っていた事だが心が空しくなる。
なのに、身体は反応するのだ。
…静雄は、心に決める。

「すまねぇ…ッ」
「!」

ぐ…っ

静雄は腰を浮かせ、素早く臨也自身を掴むと自らの秘部へと宛がった。
慣らしていない其処へ、無理やり挿入する。

「!?や、やめ!」
「く、ぅ…あッああああ!」

ぴくぴくと身体を震わす静雄を見て、臨也は察知する。
今、間違いなく静雄は痛みを感じているのだと。

「慣らしてないのに…なに考えてんだよ、馬鹿!」

化け物だから大丈夫だろうとか、其処まで酷な事を考えていたわけじゃなかったのに。
言えない言葉が喉の奥で突っ掛かったまま、怒りの言葉だけが口から流れた。

「だま、れ…よ!…きもちよくねぇ、か?俺じゃ無理か?なぁ」

ぐちっ、ずちゅ

湯気で身体が柔らかくなっているのと、ローションの手助けもあって血は出ていなかったが、
いきなりの質量に苦しそうにしながらも静雄の身体は懸命に上下する。

「てめぇの、まだ、すげぇっ…かてぇぞ…奥、破れそ…ッ」
「…くっ、この…ッ」

(人がどれだけ今まで…!)

臨也の苛立ちは最高頂に達した。
吸い付くような内壁に眩暈がする。
自分の腰骨に当たっている静雄の尻の肉が、弾力を持って跳ね返るのも、眩暈がする。

「!?…ん、あッ、気持ち、いい…何だ、コレ…あッ」
「くっ、ぁ…」

突如、静雄の下半身が震えた。
静雄の身体は痛覚から色のあるものへと感覚を取り戻し始めたのだ。
臨也の腹に両手を添え、腰をくねらせる。

「あ…!いざ…や、萎えて、ねぇ…な。良かっ、た」

いちいち確認しながら腰を動かす静雄に舌打ちをしたくなった。

『俺が無理だったら即終了だからね』

あの言葉を静雄は真に受け止めているのだろう。
少し経った後、静雄は快楽ではなく、今度は悲しさで表情を歪ませるようになった。
静かに、静かに、揺らめく身を止める。

「…臨也」
「?な…に」

一度、名を呼んだ。
口を噤んでから、小さく呟いた。

「…好きに、なって、悪かっ、た…」
「!!!」

静雄が腰を浮かせ、抜こうとした。
その瞬間、

「チッ…!」

バッ

「あ…?!」

臨也は勢い良く起き上がり、静雄の背中に腕を回して体勢を逆転させた。
マットが一段と大きく鳴る。

「いざっ」
「…ッ」

ダンッ

音を立てて羽交い絞めにすると、臨也は強く腰を打ちつけ始めた。
自分自身の意思で、静雄の中に入り込む。

「!!!!…ひ、ああああああああぁっ」

静雄の背中が反り返る。
お構いなしに続けると、こちらの様子を余裕なさそうにも伺ってくる目とぶつかる。

「いざっ、や…ぁ、あ!お前っ今」

熱が集まるのを感じながら、熱い内壁を擦りあげる。

「あー、そうだね、間違いなく…俺はシズちゃんを抱いてるねぇ」
「う、あっ、あああっ」

湯気なのか涙なのかもう判らなかったが、静雄の目は潤んでいた。

「こういうのは一方的じゃなくて、二人で気持ちよくならないと…意味がない」

言ってて反吐が出そうだった。
でも、言わないと駄目な気がした。

「簡単に誘って、悪かったよ。…今から違う意味で泣かしてあげる」
「だ、駄目、俺、なんか、変なッ、声で…る、から!あああっ」

首を振って臨也の下で悶絶する静雄を、一瞬だけ、何もかも忘れて一心に見下ろした。
今までの、全てのものが、崩れ去る。

「出せば?今更でしょ?」
「すご、ぃ、何、だコレ…ぇ…ッ!!」
「シズちゃん…、あんなに、俺のこと嫌いだったのに」

ぐちゅ…ッ

「いきなりこうなっちゃって、意地悪するよ、そりゃ」
「あっ、ああっ、ひぁ、擦…ッれて、あ」

穏やかに話す臨也だったが、下肢は激しい律動を繰り返していた。
静雄の声も掠れてくる。

「もう中、俺ので濡れてるから、痛くないだろ?」
「う、うあ、だ、いじょう、ぶだ、けど…、んぁ!あ」

両手の行き場を迷っている静雄だったが、臨也はそっと、静雄の手を握った。

「!」
「“俺じゃ駄目か?”って、そんなの、俺の状態見て普通聞く?」

ずくっ!

「あぁあーーッ!」
「ガッチガチだろ。おっかしいよねぇ!」

ぴくぴくと痙攣して、静雄の喉が反り返る。
勢い良く飛び出た白濁は、湯気に紛れて見えない。

「あーあ…」

少しだけ、悲しくなって、切なくなって、それでいて…

「…俺、も…もう」
「はぁ、はぁ…い、ざや…ァッ」


気持ちが良かった。
どうしようもなく。
歯を食いしばり、前かがみになる。


…静雄の濡れた金髪に、臨也の漆黒の髪が合わさった。

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