チョコレィト・メッシー3 | ナノ


チョコレィト・メッシー3

「はい、砂糖とミルクは自分でいれてね」
「お、おお」

アンティークな入れ物から角砂糖を手掴みすると、ぼちゃぼちゃとカップの中に無造作に放り込んだ。
あまり意識していれたわけではなかったが、手が震えている。

「…隣座るけど勘違いして殴るなよ?」
「お、おお」
「ちょっと、さっきからそればっかり」

苦笑している臨也の顔が近くにきて、静雄は思わず身を引いた。
隣に腰掛けられると、妙に緊迫とした空気が漂う。

「あ、え?」
「まさか、俺と二人きりで緊張してんの?」

笑いを堪えながらカップを両手で持つ臨也。

(ったく、動作だけは上品だなこいつ…。)

「お前は本当にあの折原臨也か?」
「…それ全然面白くないよ」

うっ、と梅干を無理やり食べさせられたかのような表情をする静雄。
臨也はフォークでケーキの端を掬った。

「じゃ、いただきます」

薄い唇で大きなケーキの塊を捉える。
チョコレートが口端について、ぺろりと舌なめずりした。

「あっま…」

喉を伝って胃袋へ行き渡る糖分に少し眉間にシワを寄せたが、フォークを置いて静雄をじっと見つめた。

「はい」
「…あん?」
「食べさせてよ。俺がしたみたいに」
「バッ…!!!」

茹蛸、再来。

「ねぇ、早く」

静雄は思った。

(これは悪い夢だよな?あのノミ蟲が俺に食べさせろだと?冗談にも程があんだろ…!)

「シズちゃーん」
「で、できるわけねぇだろ!」
「おや?どうして」

流し目で挑発してくる臨也に内心苛立ちを覚える。
が、本音を口にした。

「俺…キスの仕方しらねぇ」
「…!!」

真実を言ったまでなのに、何故臨也が顔を赤くするのか判らなかった。

「くく…あははは!」
「ああん!?」

だが直ぐに腹を抱えて笑ってしまった臨也に、気分が冷める。

「大丈夫、全部教えてあげる」

ぴったり密着して顔を近づけてくる臨也に、静雄は口を結んだ。

「おい、やっぱ俺の事からかって…」
「…しつこい」
「んっ!」

チュッ、と可愛い音を立てて啄ばまれた。

「なっ!」
「ほら、簡単だろ?はい、食べさせて、あーん」
「…くそ…ッ」

静雄はやけくそでフォークを手に取り、ケーキを一掬いして唇に挟んだ。
臨也は目を閉じ口を開けて待っている。

ドキドキドキドキ

(睫毛…なげぇ…クソ、なんなんだ…)

フォークをテーブルに置くと、臨也の両肩を掴んで近づいた。
恐る恐る近づいては離れ、何か企んでいるのではと模索してしまう。
そして、臨也が痺れを切らしたのか、先に口を合わせてきた。

「んぅ!」
「早くして…チョコが垂れるだろ」
「て、てめ」

静雄の心臓がバクバク言っている中、もう一回、と臨也は目で合図した。

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