ストップマイ×××
※ATTENTION※
前作『セクスティニエ』参照。
性欲の強い静雄が臨也と付き合い始めたお話の続き。
俺の名前は平和島静雄。
現在25歳、童貞、彼女がいた経験はなし。
ああ、彼氏はいる。
…目の前に。
その”彼氏”、折原臨也はいつもかけない眼鏡をかけ、大きなデスクに向かい分厚い本を静かにめくっている。
…ああ、やべぇ、笑っちまった。
彼氏って。
「…」
臨也は俄然こちらを見向きもしない。
仕事中と知っていながらも、自分の仕事が終わったからという理由で勝手に家に上がってしまった自分が悪いのだが。
頬杖をついて人差し指でトントンと頬をノックする。
肘の置かれている場所は無論、自分の太ももが土台だ。
つまりは、
(暇だ)
『邪魔しないなら居てもいいけど?』
玄関口から眼鏡姿で出迎えられ、それだけでムラムラしてしまった静雄だったが、唾を飲み込んでそれを制した。
「いーざーやーくーん」
「邪魔するなら帰ってね」
「…チッ」
辛うじて出してくれた茶は冷めてしまっている。
(…まつ毛、なげぇな)
ぼぅっとしながら仕事の様子を眺める。
普通に、ただ、普通に眺めているだけだったのに。
ずく
「…ッ」
鼓動が早くなってくる。
まただ、いつもこうだ、臨也を見ているだけ、臨也のことを考えているだけ、臨也のことを…
(あああああああっ)
「帰る!」
ざっ、と立ち上がり、大股で玄関へと向かった。
「え、ちょっと、シズちゃん?」
「邪魔して悪かったな!心置きなく仕事してくれ!」
ばぁあんっ!!
身体の心臓部に当たる真ん中が痛々しかった。
意味がわからない。
傷ついてではない、臨也を見ていただけだ。
(俺って、やっぱり異常なのかも…)
マンションを出て歩んだ先はもう一人の悪友の所在地だった。
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