現実トリップ。7 | ナノ


現実トリップ。7


「んぁああ、ああっ、あああぅ」
「ぼたぼた零して汚いなァ、シズちゃんは」
「んぁ、はっ、あああ」
「みっともない顔して…とんでもない淫乱だよ、君の身体は」

後ろから髪を引っ張られ、顎が浮いた。
何を言われようが気持ち良いのだからそれに抗う必要はない。
なぜなら静雄は、これを望んでいたのだから。

「はぁ…もっと…しろよ…手加減してんじゃ、ねぇぞ、ハハ…」

息も絶え絶えに苦しいのにも関わらず、静雄は臨也を挑発した。
それが好かったのか、臨也はくすりと微笑む。

「それ、良いね」

ぐずぐずになっている結合部を見下ろしながら、静雄の腰が揺れている様を確認すると、呆れ笑いへと変わってしまったのだが。

「男の味を知った後はどうする?君の先輩でも咥え込む?」
「…は、ぁ?」

臨也が頭の上でくだらない事を言っている。
とんでもない勘違いだった。
はじめは誰でも良かった、だが今は違う。

「臨也が、臨也が良いっ…てっ言ってん、だろぉが」
「…」

どうすれば伝わるのか、素直に言葉を吐き出すと腕を思い切り引っ張られ、咄嗟に強く目を瞑った。
声が直ぐ耳元で聞こえたので薄く目を開けてみると、紅い眼球が静雄をいっぱいに捕らえていた。

「妄想してるときの君ってさ、現実には誰にも汚されてないわけだ。それを、俺が密に眺め、独り占めをしている気分を味わっていたんだよね」
「…あ?」
「まぁ、最初はただの化け物観察だったわけだけど」
「なん…ァっ、それっ」

首から背中、腰、尻に掛けて臨也の指はいちいち食い込むように撫でまわしてくる。

「一人でし始めた君を見たときに気付いたんだ。君も人並みに性的興奮を覚えるんだ、へぇ…そうなんだァ…って」
「あたりま、え…っ、ああっ」

とんっ、と臨也が中に入り込んだ瞬間、その衝撃に胸を沿ると良いところが擦られ半透明の白濁が溢れた。
果てをみながら身体を揺さぶられ続けているようで、言葉が覚束なくなってくる。

「んあぅ…っ」
「まぁ、妄想の中の相手が誰でもないっていうのを聞いて安心した俺自身に反吐が出たんだけど」
「!」

はっ、として、静雄は振り返る。
臨也は静雄の左太腿を持ち上げ再び対面させると、抱きかかえるように引き寄せた。

どんっ
冷たい壁が静雄の熱い身体を背中から冷やしてくれる。
まぁ、そんなものは一時でしかないのだが。

「臨也…それ、って、お前…」
「俺は、一度手にしたら執着する。束縛するし、君に寄り付く虫は殺すかもしれない」

視線を目の前で交わしながら、臨也は静かにそう言った。
先ほどから、静雄は身体の快楽のほかに、言いようのない想いが沸々と震えとして身体を支配しだしていた。

「お、おい」
「太もも自分で抱えて。堪え切れなかったら自分の膝でも齧ればいい」

荒い息を吐きながら言われたとおりに両手で抱えると、臨也は両手の平を壁に付く。
その直後、激しく腰前後に振り、静雄の下肢へとぶつけてきた。

「!?んあっ!あああっ!!ッそ、れ、すご」
「監禁して、もっと孤立させてやろうかなぁ…フフ」

悪魔のような囁きが、今の静雄には甘い毒となる。
それって、

―『甘くて、いやらしくて、素敵な現実だな。』



妄想なんて、ただの現実の代わり。
代替品は所詮本物には勝らない。

静雄は、結果論に喘ぎながらも笑いがこみ上げてきた。
臨也は何も言わずにその様子を眺めている。

「ハ…ッお前はバカか?」

その不敵な笑みに、臨也も口角を上げる。

「臨也…俺を見ろ、俺を触って、犯してくれよ、もっとよぉ…」

声はか細かったが、力強い懇願で、囁いた。
それを聞いた臨也は鼻で笑いながらも、腰を動かし始める。


「!?んはっ、ああっ、イく、もうイく…ッまた、イッちまう…っ」



妄想なんて、非じゃない。



「あ、あァっ」
「くっ…」


熱い迸りを臨也の腹にぶちまけたあと、彼もまた、眉間にしわを寄せながら静雄の中で果てを見た。

今この瞬間、静雄もまた、臨也を支配しているんだと実感した。

束縛?
監禁?


俺を独占したいだって?

お前相手でこうなっている時点で、気付いたらどうだよ。


確信した静雄は、彼らしい威勢の良い声音で彼の名を呼ぶ。

「臨也」

彼の後頭部に腕を回し、ゆっくりと引き寄せた。

「今さっき言ったこと、本当だろうな?」
「俺が君に嘘を付いた事がある?」



『嘘ばっかりだろうが』

今度は静雄が鼻で笑ってみせる。
妄想が現実になった今、甘い痺れは全身に広がった。
臨也の耳元に、低く、囁く。



「それはよぉ…、俺からお願いすることだろ、いざやくん」



甘い毒に侵された花に、優しい狂気を。
臨也はそれを聞いて、とても満足気に、笑った。


今迄で一番良い気分を味わいながら、抱きしめた身体から感じる温度に目を閉じる。




妄想から現実へ、そして今度は、これからの時間すべて。



―俺のものだ。


End.

現実トリップ。
「妄想なんて、ただの現実の代替」



2013/04/17

イザシズミレニアムに間に合ったー!ということで完結した臨也の本心が少し見えた現実トリップ。
いかがでしたでしょうか…
独占欲の強い攻めって結構好きです。

やっと現実に臨也と繋がれることになった静雄は、次回から少し欲張りになります。
後日、シリーズ3作品目「束縛トリップ」へ続編予定。




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