「………………」

分史世界に存在する、時歪の因子の破壊。私は殺人という罪を犯した代償に、もう一度この正史世界へ戻ってきた。私の世界、私が幸せに暮らすための世界のはずなのに、それは酷く残酷な世界でもあったのだ。

「…………すみませんでした、今日は帰らせてください」

誰の顔も見たくなかった。笑っている人間を見ると、虚しさでどうにかなってしまいそうだった。私は、骸殻能力の契約を結んでしまったのだ。それは、今後もこのようなことを繰り返していかなくてはならない、そういうことだ。それを理解するのは簡単だが、いざ実行しろと言われてすぐにできる問題でもない。そもそも、社長が私を殺そうとしてきたのが原因でこうなったのだから、少しぐらい休ませてもらっても害はないし、何ならこの会社に長くいる理由もなくなってしまったのだ。…骸殻契約をしてしまった以上、これからどうなってしまうかわからないため、ここにいる他ないのだけれど。



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