初めての接吻

自分が子供である事が嫌でしょうがなかった。擬態した黒死牟と町に出れば必ず女の人に声をかけられるし、そう言った目で見られている事も気づいてた。
それが気に入らなくて、彼の腕にべったりくっついていても、可愛い妹さんね、と言われるのがオチで腹だたしかった。
違う。妹じゃない、と言いたかったけれど黒死牟がそれ否定しないので私は口を噤むしかない。そちらの方が生活しやすいし、誰にも怪しまれずに2人で生活出来るからだ。それでも、嫌だった。私じゃない女の人が彼に触れるのも、話しかけるのも。

「私、黒死牟の妹じゃないのに。」

子供染みた嫉妬だ。情けないと思った。でも嫌なものはいやなのだ。

静かに座り、私を見据える彼の前に膝立ちになり襟をひっぱり自分の唇を彼に押しつけた。ひんやりとした黒死牟の薄い唇は想像以上に柔らかい。ただ触れるだけの口付けだけれど、私には精一杯で顔を真っ赤にしながら彼に言った。

「私、もう子供じゃない。」

少し驚いたようにしていたが、私と目が合うと彼が笑った気がした。腰に腕を回され胡座をかいていた黒死牟の足の上に強引に引き寄せられ座らせられる。驚いて目を白黒させている間に片方の手は頭の後ろに回っており、完全に逃げ出せないようにガッチリと抱きしめられていた。

そしてぐいと頭を引き寄せられ同じように口付けられたのだが、自分がしたものとはまるっきり別のものであった。

「んむ、っ」

呼吸する為に開いた口からヌルリと舌が入りこんできて容赦なく口内を蹂躙される。驚きと困惑で奥に引っ込んだ舌を絡み取られ吸われ、酸欠で朦朧とする中、必死に彼の着物をぎゅと握った。
後頭部を押さえられている為、仰反る事も出来ず口内で逃げる舌を追われ、引き出され摺り合わせ甘噛みされる。何度も角度を変えながら舌を入れられ歯列をなぞり上顎を摩られ深い深い口付けの未知の感覚に甘い声が漏れた。

「ん、ん、っ」

流れ込んできた唾液を必死に飲むも、上手く息継ぎも出来ないので口の端から溢れる。

は、と息を漏らした。

黒死牟の唇がゆっくり離れていき、最後に舌先で下唇を舐められふるりと腰が震えて後ろに引きそうになるも回された腕の所為で身動き取れず、より一層引き寄せらる。

長い接吻にやっと解放され、真っ赤になった顔でふるふると震えながら黒死牟を見上げれば、やはり薄く笑っていた。

「子供じゃ…ないのだろう。」

きっと顔は真っ赤で恥ずかしさで今にも倒れてしまいそうだけれど、私の全てを見透かしたような黒死牟の言葉が何だか悔しくて、その言葉の挑発に乗るように、彼の頬に手を寄せちゅと可愛いらしく唇を重ね、ささやいた。

「もう一回して?」

恥ずかしくてたまらなかったけれど、意表つかれたような黒死牟の表情が見れて満足だった。
そして怪しく細められた瞳に気付き、これから来るであろう彼の行動に目を瞑れば再び噛み付くように口付けられた。

prevnext


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -