ねえ、教えて

錆兎生存ifです。捏造ありです。



私には歳の離れた3人の幼馴染がいる。義勇と錆兎は5つ、真菰は3つ違う。上2人はもう既に柱になっているし、真菰もその2人の継子。
早く。早く私も彼らの隣に立ちたい。必死に背中を追いかけて16になってやっと最終選別に行く許可がおり今じゃもう立派な鬼殺の剣士である。ちなみに炭治郎とは同期だ。
もう少し早くに最終選別に行けた筈だったのに過保護な幼馴染達がそれを良しとしてくれなかかった。鱗滝さんからも許可を貰えたし、岩だって切れたのに最後の最後まで渋ったのは錆兎だった。
気持ちは分かる。初めて出会ったのが私がまだ7歳の時だったのでその印象が強いのだろう。ずーっと彼らの中では私は可愛い妹分で守らなければならない対象なのだ。
けしてそれが嫌なわけじゃない。でも、もうちょっと私の事を信頼してくれても良いんじゃないかなとは思うけれど。
この間の隊服の事でもそうだ。あの時もあの3人が中々騒いでいたのも記憶に新しい。

配布された隊服を喜んで受け取った。待ちに待ったものだったのだ。やっとこれを着れる。あの3人と同じく鬼殺の名を背負えるのだ。
そう思って袖を通した私もびっくりした。派手に開いた胸元に太ももが見える程短い丈の袴。いや、これを袴と言って良いものなのか。女性の隊服はこんなものだったろうか。いや、違う。真菰はこんな隊服じゃなかった筈だ。私だけ…?
最近成長し膨らみ始めた胸は今にも溢れ落ちそうである。どうあがいても前は閉まらさそうだ。採寸の人が間違ってしまったのかな。これで任務に行かなければならないと思うと、今日一緒である錆兎を思い浮かべ少し気恥ずかしくなった。
だって…これ…。裾を持ち上げた。少しでも激しい動きをしたらどうなるか。想像しただけで顔から火が出そうだ。
短い丈のスカートをグッと下に引っ張ってみるも長さは何一つ変わらない。前も閉まらないし。ど、どうしよう。
ワタワタと自室で試行錯誤していると、予告なしに襖が開いた。

「まだか?もうそろそろ出ないと…。」

私を見た瞬間固まる錆兎。

「あ、あの、隊服着たんだけど…こんなものなのかな…?」

少し恥ずかし気に隊服の裾を引っ張りながら聞けば、錆兎ははっとしたように後ろの襖をスパンと締た。
ズカズカとこちらに近づいて来たと思えば、着ていた自分の羽織を私にかける。

「に、似合ってなかった?」
「!…似合ってる似合ってないの問題じゃないだろう。」

錆兎の耳が赤い。
あ、照れてる。
ちょっとした悪戯心が芽生え、肩にかけてくれた羽織を少しだけ開けて胸元を見せるようにコテンと首を傾げた。

「ここ、こんなに開いてるものなのかな?」

耳どころか顔を真っ赤に染め上げ、勢い良く私が開けていた羽織を前に閉じる。

「この隊服を作ったやつは誰だ。」

あの後、鬼殺隊服縫製係の前田まさおと言う方が錆兎にしめられたとか、どうとか。

そのおかげかは分からないがちゃんとした隊服になって私の手元に戻ってきた。

今日、私と錆兎は非番で義勇と真菰は任務。錆兎にでも稽古をつけて貰おうと錆兎の自室へと向かっていた。このお屋敷は義勇と真菰と錆兎で4人で住んでいる。狭霧山に鱗滝さんと一緒にみんなで暮らしていた時に戻ったようで嬉しかった。1番下である私はみんなを見送る事ばかりでやっぱり寂しくてたまらなかった。あ、でも炭治郎が来た時は少し賑やかになってその時も楽しかった。

開いたままの襖からひょっこりと顔をのぞかせれば、錆兎の背中が目に映った。
たっと駆け寄り背中に飛びつく。

「さーびとっ!」

どんと乗っかるように錆兎の首に腕を回して背中から抱きついた。

「こら、あぶないだろう。」
「ふふ、ごめんさい。」

良く見れば何か書類を書いていたみたいで悪い事をしたな、と少し反省する。
でも錆兎の事だからきっと私が部屋を覗いている時から気配で気づいていただろう。
何も言われないのでそのまま引っ付いていると、ペシと首に回していた手を軽く叩かれる。

「そろそろ離れろ。くっつくな。」
「やだ。」

即答すれば軽くため息を吐いたのが分かった。ちょっとした反抗心でぎゅーと先程より抱きつけば、錆兎の肩がぴくりと揺れた。

「あのな!っ…胸が…当たってるんだ!」

耳と首を真っ赤にしながらこちらを振り返った錆兎。後ろから抱きついている私の顔と思ったより近くてお互いびっくりする。至近距離で合った目は逸らさない。鼻先があと少しで触れる。

「ふふ、あててるの。」

そう言って、ちょんと鼻先を当てれば錆兎はおかしいほどにピキリと固まった。
あら、やり過ぎたかな。そのまま動かずに観察していたら、驚く程速い身のこなしで回していた腕を首から外し横に引っ張ると自分の膝の上へと私を抱えあげた。一瞬過ぎて目をパチクリさせる。
先程まで同じくらいの目線だったのに今は見下ろされていた。腰はガッチリ腕を回されているので動く事も出来ない。

「錆兎…?」
「俺が、どれだけ…我慢してると、思ってるんだ。」

その言葉に思わず目を見開いた。
ねえ。錆兎。そんな事言ったら、私勘違いしちゃうよ。それとも期待して良いの?
ずっとずっと、私は貴方の妹分にしか見られていないと思っていた。私の事を大事で大切にしてくれているのは分かっていたけど、私が抱いている気持ちと錆兎の気持ちは違うと思っていた。

「知らない。そんなの知らない。ねえ、だから教えて?」

私と錆兎の気持ち一緒だと思っていいの?
少しだけ熱の篭った目をした錆兎の頬に手を添え、ゆっくり顔を近づけた。

prevnext


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -