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時計台の鐘が午後3時の時間を示し鳴り響く。
街にはたくさんの人々が入り乱れていた。
ドレスを着た者や紳士服を見に纏った者。
ボロボロの服を纏った者もいる。
その中でも目立つのは黒いマントを羽織った者だった。
頭まで深く被り、男か女かなんてわかりはしない。
長いマントは足元までも覆う。
マントの下から微かに覗く深紅の瞳。薄気味悪く光る瞳は楽しそうに細められる。
色素の薄い灰色の髪がちらちらとマントの下から現れる。
まるで、地に降り立った死神のようだ。
「世界は何を見たんだろう」
鐘の音に耳を澄ませながら、りんとした声を轟かせる。
孤独を感じさせる雰囲気が、人とは何か違う美しさを醸し出す。
「彼女はなんでー−……」
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