煉瓦で引き詰められた建物。
それに挟まれるようにあるのは人一人がちょうど通れるくらいの小道だった。

上を見渡すと、屋根と屋根の隙間から青い空が見える。

馬車の走る音がどこか遠くで聞こえた気がした。


「ここ、どこ……?」


見知らぬ風景は先程とは全く異なる場所だった。

大通りを流されるように歩いていた。
だけど、朝から歩き続けていたから疲労が溜まる。
流れから出ようと幾度も試みた結果、知らない場所へとたどり着いていた。


考えもなしに歩いてきた結果なのだろうか。

周りには全く人がいない。
煉瓦の奥にある部屋からも物音がしない事から出はらかっているのだろう。


いったい、自分はどうやってここまで来たのだろうか。
少し街の事を知りたいとは思っていた。
だけど、それは目的地に向かいながらの話で道から外れる気はなかった。

方向音痴にもほどがある。


 



 
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