春は毎日の日課で朝日が昇る前に起きて朝食の下ごしらえをする

下ごしらえをした後に玄関前の掃き掃除をする

真冬だから落ち葉が多く、掃除は大変である

玄関前の掃除を終えた後、台所に戻って朝食の準備を始める

今日の朝食はかけ蕎麦と椎茸や鱚の天ぷらだ

準備が終わりに近づいたころ、二階から人が下りて来た


「おはようございます桔梗。今日は桔梗が一番乗りですよ」

「桜もまだ下りて来ないのか? 珍しいな」


下りて来たのは少し前からこの裏七軒に住んでいる桔梗だった


「はい。そろそろ朝食の準備ができますので起こして来ますね。桔梗は料理を机に並べて置いて頂けますか??」

「いや? 面倒だろう、私が起こしてくるが??」


そう頼んだ春に桔梗が待て、と止めてそう申し出た


「いいえ。多分まだ桔梗にはまだ早いと思いますので。…あっ、別に悪い意味ではありませんよ! ただ皆さんを起こすのにはコツがいるんです。
では、いってきますので運んでおいて下さいね」


中々個性のある三人はそれぞれ起こすのが苦労することがある

それを桔梗に任せるのは申し訳ないと判断したのだ


「ああ。わかった」


春の言葉に従って桔梗が料理を運び出したのを見届けて春は二階へと上がった






「まずはすぐに起きて下さる桜から起こしましょうか」


春は桜の部屋の前までくると襖を軽く叩いた


「桜、起きてますか? 朝食の準備ができましたので、着替え終わったら下りてきてください」


「おお、わかった。わざわざ悪いなぁ」


声を掛けると中からすぐに返事が来た

どうやら桜は既に目覚めてはいたらしい

元々桜は不眠症の気があるので眠りが浅い

誰かが来たらすぐに起きてしまう


「いいえ。桜も目覚めが悪い時がおありでしょう。…相方様はもうお帰りで??」

「ん? ああ、朝早くにな」


襖越しに話しているので桜の表情を知ることはできない


「そうですか。それでは私ははなを起こして来ますのでこれで」

「あぁ、ありがとな」

「はい。…桜、あまりご無理はなされませんよう」


春は桜との会話を終えると次ははなの部屋へと向かった






「はな、はな。起きてますか?? 朝食の準備ができましたので下りてきてください」


はなの部屋、屋根裏部屋へと続く梯子の前に立って春が部屋の主に声を掛けた

しかし何の物音もしない


「はな? まだ眠っていらっしゃるのですか??」


もう一度話しかけてみる


「…」


またもや無言

春は小さな溜息を吐く

だが最早日常茶飯事のことなのではな専用の秘策を使うことにした


「…もう、仕方ありませんね。はな、今日の朝食はかけそばですよ」

「おはよ。春」


春が朝食のメニューを言った瞬間、屋根裏部屋から小さな人影が飛び出した

はなだ


「おはようございますはな。着替え終わったら先に下に行って下さい」

「春は?」


首を傾げてそう言うはなは小動物のようで可愛らしい


「私は橘がまだなので起こして来ます」


はなににっこりと優しい笑顔を向ける

はなはこっくりと頷くと階段へと向かった


「わかった。春、早くね」

「はい」


春ははなと別れて最後の難関橘の部屋へと向かった




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