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話し合いを終えた後春は夕飯を作りに台所に向かった
居間に残った桜、橘、はな、桔梗は何も話さずに座ってた
はなは隣に座って桔梗の片手を両手で握っている
「それでもう一つ聞きたいことがあるんだけどなぁ。いいかい?」
桜は橘と視線を合わせた後に桔梗を見て、そう切り出した
桔梗は頷き肯定の意を示す
「お前、“隠威”持ちだな」
橘が桔梗を鋭い目で見つめ、尋ねた
桔梗はその視線にも物怖じをせずに首を捻った
「オニ、とは??」
「……」
「まぁ、記憶がないなら覚えてないよなぁ」
当然ともいえる桔梗の反応に各々リアクションをとった
「桔梗の“隠威”…」
はなが桔梗を見つめて小さく呟く
「“隠威”というものは古来から人と血の約定を結び、その者に力を与えるもの。その血脈の中で、もっとも血の繋がりが濃い者が継いでいくものだ」
「それを私が持っている、ということだろうか?」
「そうなるなぁ」
橘が隠威について説明した
説明を理解したが、いまいちピンとしていない様子の桔梗
その彼女を見て桜が笑う
「持っているのは確かなんだよ。でもそうかぁ、出し方もわからないんだよなぁ」
お手上げだ、と言わんばかりの桜
「名前もわからないのか?」
橘の問いに桔梗は頷く
彼女の反応に桜、橘は二人揃って溜息を吐く
「あぁ、でも確か隠威って自らの意思で外に出るのが可能じゃなかったか?」
「そうだが、出てくる気配はない。此方の様子が聞こえていないか、出るのを拒んでいるといったところだろう」
桜の言葉を橘が否定する
とりあえず、今のところは隠威に関しては打つ手はなさそうであった
「じゃあこの件もまだ保留だなぁ」
「すまない、面倒な者で」
「かまわねぇよ。それも込みで受け入れるってことだからな」
「ありがとう。感謝する」
ここに来てから初めて見せた桔梗の笑顔に隣のはなも嬉しそうに微笑んだ
「桔梗 これから一緒、だね」
「ああ、よろしく。はな」
‐be continue‐
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