*続きです。
*捏造。
*シャボンディ諸島から逃げ出すハート一家。しかし宿敵、ルワンノ大佐の潜水艦と激突!ローとシャチが応戦し、勝利。ローはとっとと退散し、シャチを回収するのを忘れた。そこからスタートします。
*ルワンノ大佐の話はこちら










時刻は正午。天気は曇天、季節は夏島の冬。
グランドライン、シャボンディ諸島から南西5kmの海域にて。





「ちょっとーー!」


シャチは海に向かって吠えた。
ローに置き去りにされたのである。


「よりによってなんでルワンノの船にぃぃぃ!」

海軍大佐のルワンノの潜水艦の甲板にシャチは立っていた。
白いツナギは血に塗れ、右手には拳銃、左手には海軍少尉のミノルという少女の髪を掴んでいた。

ミノルは気絶しており、口から血を流してる。そして、首だけの姿だった。


「ミノル君の頭を離せ外道!」

ルワンノはシャチに斬りかかる。長く真っ直ぐ伸びた刀身を右上から振り下ろす。


シャチはミノルの頭を地面に叩きつけた。
刹那、ルワンノは怯み、動きが鈍くなった。
シャチはすぐさま後方に飛び退いた。そのまま海上に身を投げ出す。


「あんたのお姫様のカラダ、貰ってくぜ〜〜!!ほんじゃあ、また会う日まで〜〜!!二度と会いたくねーけど!!」


さよーーーならーーーという言葉とともに海中に姿を消した。







ルワンノは追わなかった。先刻までローと戦っていたため満身創痍だった。シャチに発砲され空いた身体中の穴から血が吹き出している。







ルワンノはヨロヨロと、首の元に歩きはじめた。そして拾い上げ抱きしめた。

随分と長い間そうしていた。


視界が一瞬にして雨だけになった。
頭上の重たい雲から降り注ぎ始めたのだ。
ルワンノから流れ出て甲板にできた血溜まりが滲む。


ポッカリと空いた自分の胸を殴る。
そして、吠える。




ロー君!キミを愛し殺す!!




心臓を失った自分と、胸の内に抱いた少女の首以外、息する者が居ない、冷たい甲板で、ルワンノ・ネーヴは叫び続ける。




*******





時刻は15時。天気は雨、季節は夏島の春。
グランドライン、シャボンディ諸島から南西70kmの海域、ポーラータング号甲板。




「ただいま。」

「はは、ほんとお前こえーよ。何故生きてる。」

「ホシが小舟出して待機してくれ出なかったら流石に死んでるわ。」

「どうやったら死ぬのまじで。」

「そんなにおれを殺したいの?!ねえ?!いや〜〜なんかシルバーズ・レイリーとか、こう、胸踊る方々を見ちゃってフラストレーションぶちぎったっていうか、いつもより頑張れたっていうか、いやーーー気持ちよかったです。戦闘。もう当分いいや。」

「お疲れさん。」

「ありがとう〜〜。あれ?人少なくない?」

「みんな疲れ切って寝てるよ。おれはお前とホシが戻るの待ってただけ。あ〜〜眠たい!」

「わはは。ありがとうございますですわ。」

「あーーー。つーか、船長が持って帰ってきたあの首が付いてない女体、なんのつもりか知ってるか?」

「人質じゃない?…あれ?でもとうとうルワンノ大佐の心臓も奪えたから、その部下とか要らなくない?なんで?」

「お前も知らねーのかよ。はぁ………。どうすんだろうな。自分の心臓と部下の体を奪われたルワンノ、怒り狂うんじゃねぇの?…トドメさしてきた?」

「船長がワザワザ殺さずに心臓だけ奪ってきた人とオペオペの実の能力であえて生かした首をおれがなんで殺すのさ。」

「まあ、そうだよなあ〜〜。」

「そうそう。」


『船長、何するんだろう。』




「お前たち、早く中に入れ。そろそろ潜るぞ。」



甲板の大扉から顔を出したホシが二人に言った。






*******







同日15時、ポーラータング号艦内。
最下層、第3倉庫。
別名、『独房』。



バンダナとの面会を終えたローはハンチングを連れこの部屋に篭っていた。





「が……ッ」


「もう赦さねえ。」


ローは、後ろ手に縛られ床に横たわっているハンチングの腹を容赦なく蹴った。

ハンチングは勢いよく壁に激突し、ドシャリと音を立て、力なく転がった。


「怪盗BF、ヴァント・ヒューゲル、人口悪魔の実の被験体No.3のサシラ・アンヴェルス。こいつらの情報が海軍に漏れれば…どうなるかくらいわかってるよな…?」

「…。」

「まあ、その場にいた海軍の下っ端は皆殺しにしたし、アグリは記憶を全消去。その部下も今船内に監禁しているから恐らく本部には漏れていないと思うが、取り逃がしてる可能性もある…。本当に、やってくれたな。」

「…。」

「お前……何故、死線にバンダナを向かわせた。何のためにお前と一緒に行動させたと思ってんだ。…ひょっとしてバンダナの嫁の弟がスパナだって知ってたのか?死に目に合わせてやりたかったのか?」

ハンチングの髪を掴み頭を持ち上げる。

「う……。」

「余計な事を考えるな。お前のせいでスパナだけじゃなくこの船全員殺されることになってたのかもしれねぇんだぞ。」


「……ごめんなさい。」

「……赦してやる。ただしーーーー“room”」


ローの手元に、女体が現れた。

「万が一を考え、予防策を講じる。まず、お前、バンダナ、サシラを改名する。そして、お前には性も変えてもらう。」

「……その女体に、ボクの首をつけるんですか?ーーーーそれ、海軍でしょう…?たしか、ルワンノの部下………。まったく、あなたって人は…。」

「身から出た錆だ。諦めるんだな。」


ローは女体を足元に転がし、抜刀した。


「お前は、今ここで第一の人生に幕を引くんだが、最期に言い残す言葉を聞いてやる。」

刀身が、ヒタリとハンチングに押し当てられる。

「……来世でも、末永くよろしくお願いいたします。」

「本心は?」

「……みんな死ねばいいのに!!って感じです。」

「クク…お前がそれを言うのか。」














ここが地獄じゃあるめェし












「気を楽にしろ、すぐ終わる。」












20190210
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