落ちていく(2/2)


「ははっ、こんだけ犯されてんのにまだ締め付けてくんのかよ。そんなに精子が欲しいのか?」

「まじでオメガって繁殖しか能がないんだな」


笑い合うコイツらを今すぐぶっ殺してやりたかった。なのに体が言うことをきかない。
頭の中は霧がかかったみたいに白くよどんで、男に雑に突かれるたびに認めたくない快感に襲われて体中が打ち震える。


「感じてばっかいねーでちゃんと奉仕しろよ」

「んぐッ!うぅっ…んん!」


頭を掴まれて喉の奥までモノを突き込まれる。えずく間も与えず男は腰を動かして口内を侵し続ける。息苦しさも相まってますます脳内が痺れて真っ白になっていく。それでも理性は手放さないように俺は血が滲むほど強く拳を握りしめた。


「あー、イきそ。イクイクっ」

「ぐっ!? …っげふ!ごほっ…!」

「おい、せっかく出してやったんだからこぼすなよ」


むせて吐き出した精液を男は性器の先端ですくって俺の口に塗りたくる。耐え難いほど屈辱的なのに口の中に広がる青臭い匂いは残酷に俺の欲情を刺激した。


そうして男たちは俺の体を使って好きなだけ性欲を発散し尽くした。


「あー楽しかった」

「やべ、脚フラフラ」


満足げに笑いながら制服を着なおす男たちを殺意を込めて睨みつける。


「テメェら…殺してやるっ…!」

「…ぷっ、あははっ!よくまだそんなこと言えるな」

「もう凄まれたって何も怖くねぇよ馬ー鹿」

「オメガの発情期って一週間くらい続くんだっけ? 明日もちゃんと学校来いよ」

「逃げたら家まで犯しに行くからな」


下品な笑いを響かせて男たちは体育倉庫から去って行った。


俺は床に突っ伏したまま唇を噛みしめる。服を全部ひん剥かれた体は精液でドロドロだ。不快だけど重い倦怠感で起き上がることもできない。

…とにかくこのまま少し休んで今日はさっさと帰ろう。家にも抑制剤はある。それさえ飲めば…。


──ガチャッ


明日の復讐を考えて頭を煮やしていると突然ドアが開け放たれた。


「…酷い匂い」


冷ややかな声が耳を刺す。現れたのは同じクラスの神代(かみしろ)だった。その姿を目にした瞬間、俺はとっさに体を強張らせて警戒した。


「なんでテメェがここにっ…」

「クラスの奴らが騒いでた。菅谷がオメガだったって」


言いふらされるのは覚悟していたけどコイツがここに来るのは予想外だった。

…Ωの発情が発症したら最も注意するべき人間。…この神代という男はΩと対極の存在であるαだ。


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