※※第307話:Make Love(&Aphrodisiac).186
彼と向きあって、彼のうえに座り、ナナから腰を落として挿入した。
ズッッ――――――…!
濡れすぎていたこともあり、驚くほどすんなり挿ってしまう。
自分の中が狭くなっていることも彼のが凄いことになっているのもナナにはわかっていたので、一度で奥まで当たったのにはほんとうに驚いた。
「あああぁぁっ…っ!」
しかも驚きが押し寄せるより早く絶頂が訪れてしまい、ぎゅうっとしがみついたナナは動くことができずにいた。
「……今日はスローなのが望みか?」
耳もとで悪戯っぽく笑って、動けずにいる彼女を薔は刺激する。
スローなのも好きだけれど、ナナから敢えてスローな動きをしてみせるのはとても難しい。
「は…っ、激しっ…く…っ、し…っ、……あ…あっんっっ、」
動いてくれない彼に、「激しくしてください」とおねだりをしようにも、ままならない。
息も乱れて、どうしても喘ぐのが先になってしまう。
「そんな声じゃ上手く聞き取れねぇだろ……」
これはもう聞き取れたのだとしか思えない意地の悪さで、薔はごくゆっくりと突き上げだした。
焦れったくなるほどゆっくり引いて、ゆっくり最奥へ当ててくる。
「あ…っ、あああ…っ、」
違うのに、これはこれで感じてしまった。
それなりの間隔を置いているからこそ焦れて、焦れているところへ持ってきての最奥への強い衝撃がじわじわと迫りきた。
「おまえが一言聞かせてくれたら……済む話なのにな、」
スローなピストンを続けて、やわらかく乳房を揉みしだいていた薔は抑えきれなくなり、突然彼女を抱き寄せた。
「ああ…っっ!」
抱き寄せられるあいだにもナナは絶頂を得て、無我夢中で彼に抱きついていた。
収縮する膣で少し角度が変わり、それがまたえもいわれぬ快感になった。
「…――――――なあ、どうして欲しいのかちゃんと言えよ……」
耳もとにくちびるを寄せ、薔は吹き掛けた。
扇情的な愛撫が、背中を滑っていった。
「おまえが、俺におねだりすんの大好きなのと同じで……俺はおまえにおねだりされんのが大好きなんだよ……」
「っっあ…っっ!?」
ぞくぞくして、背筋まで響いて堪らなくて、ナナは改めて懇願するよう努めた。
おねだりの難易度を上げているのは、彼なのだけど、彼に求められたので。
それに、「大好き」という言葉は圧巻だった、媚薬だって恐れ入るしかない。
「あ…あっ、激しくしてっ……くらさ…っ、薔ぅ…っ!」
甘えた声で、彼にきちんと聞こえるようにナナはせがむことができていた。
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