※※第340話:Make Love(&Sex aid).47








 「もう屡薇くん、ほんと離して……」
 恥ずかしくて逃げたくなった真依は、彼の腕の中でもがいた。
 「やだよ……真依さんは俺のだもん……」
 屡薇は依然として離そうとせず、おまけに甘えた声を出してくる。
 それは知ってるけど酔ってるでしょ!?と言い返そうとした真依は、つまるところ、彼の言い分が正しいのだと気づいた。

 ずっと好きだったひとなのだから、仕方ないのかもしれない。
 その想いにきちんと寄り添われている感触も、確かに伝わってくる。


 「ずーっと抱っこしながら寝てたい……」
 ほんとうに抱き枕の心地でいるのか、屡薇は彼女に擦り寄った。
 「ええっ!?それはダメっ……」
 焦った真依は思わず、本音をぶちまけた。

 「ドキドキしすぎて、おかしくなっちゃうからっ……!」

 と。
 ダメと言いつつ内容でデレるという反則技を、無意識のうちに取っていた。




 「あ、素直な真依さんが出た……」
 「ええ…っ!?」
 これぞ本音という言葉が聞けて嬉しくなった屡薇は、顔を上げる。
 見つめられることでもドキドキした真依は不意討ちで、優しくくちびるを奪われた。

 やわらかく触れあったくちびるは、やわらかく弾んで放される。

 「えっちなことしちゃおうっと、」
 急に悪戯めいた目つきになった屡薇は彼女をソファに押し倒し、上になった。
 寝惚けていたわりには力強く、驚いた真依のくちびるは再び奪われる。
 「舌入れるから口開けて?」
 くちびるを舐めた屡薇は囁き、戯れあうみたいに笑った。
 「やだ…っ、屡薇くん落ち着いて…っ、」
 彼をなだめるために、真依は口を開く。
 決して、従ったわけではない。

 「開けてくれんじゃん……」
 今夜は素直なの?と思った屡薇は遠慮なく、舌を滑り込ませた。
 「ん…っ、んん…っ、」
 ここでしちゃうの?と聞き返したくてもできない真依は、舌先で舌先を突つかれる。
 不思議と、アルコールのにおいはしていなかった、彼はほとんど酔っていなかったのだろう。
 うたた寝は本気か、それともたぬきか。

 「んう…っふっ、ん…っ、」
 上唇を甘噛みされて、真依はふるえる。
 もうすでに気持ちがいい、これでは全部持っていかれてしまいそうだ。

 顎を掴み、くちびるを閉じられないようにすると屡薇はより一層深く舌を入れてきた。
 高くなり、合わさるリップ音はリビングへと響く。


 ちょっと久しぶりだから、互いに我慢していた、それを抑えきれなくなっただけの話だった。

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