※※第334話:Make Love(&Comfort).202
いよいよ、始まりました、新学期!
大いなる期待やいささかの不安やハプニングの予感などを抱えながら、学問にもそれなりにきちんと励んでまいりましょうか。
ちなみに校長先生の校長先生による校長先生のための始業式は、やはり終始語尾が伸ばされところどころ変態チックだったのだなと言うことで、割愛させていただきます。
ホームルームも滞りなく済ませた職員室では、二学期から臨時職員としてお世話になることになった教師が、先輩教師からの指導を受けていた。
葛篭先生は案の定まだ産休ではなく、臨時職員が来ることになった理由は、紺野先生(←めっきり登場しなくなったけどあかりのお兄ちゃん)が骨折で全治三ヶ月の怪我を負ったからだった。
なぜそこまでの大怪我を負ったのかの理由は、最近お気に入りだった萌の良さを語らった際、お兄ちゃんはまた女かよと大笑いして、萌のホラーなキャラをめっちゃからかってしまったからである。
よって怒り心頭の妹に天誅としてドロップキックを食らわされ、屋内で転倒した兄はどこかしらの骨を折ったのだった。
こういう目に遭わされる兄もいるから気をつけたほうがいいよという戒めにさりげなくなっている上に、紺野兄妹は綾瀬兄弟にかなりの貢献をしている。
「先ほどの自己紹介はいただけませんね、綾瀬先生……」
イライラしてつい眼鏡をゆびで弄ってしまった醐留権は、授業の開始前にさっそく臨時教員への説教をしていた。
自己紹介というのは、始業式の最中に手短に行われたものである。
ゾーラ先生は綾瀬先生に対して、否応なしに拒否反応を示してしまうようなおぞましいデジャヴを感じている。
「何かおかしな文法でも使っていたでしょうか?」
ここは互いに数学教師にも拘わらず、キョトンとした綾瀬兄は文系の観点での問題があったのかを聞き返した。
「的外れな返答をするのがお上手ですね……そうではなく、これからまた新鮮な気持ちで学問に励む生徒たちの前で、あなたがわざわざ声を大にして述べたことは何ですか?」
イライラを高めた醐留権は、詰め寄った。
こけしちゃんが見ていたら悦ぶ光景かもしれない。
「あっ!あれですか、僕が自己紹介のときに必ず言っているあれ!僕はこの世で本当に、妻と弟が大好きなんですよ〜!」
満面の笑みとなった綾瀬兄は怯むことなく、自己紹介のときに醐留権だってしっかり聞いていた内容をわざわざ復唱した。
こやつを今すぐ校門の外に閉め出したくてぞわっとなった醐留権先生は、ちょっと離れた。
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