※※第327話:Make Love(&Cuddle).198
「スイカ一玉完食はきついね……」
「当たり前じゃん、残りはタッパーに入れて冷やしとくよ?」
「ありがと……」
屡薇は彼女と共にスイカを平らげようとしたが、さすがに水分が多いし食後には無理があった。
なんか可愛いな……と思っていても言ってあげない真依は、残ったスイカはもっと食べやすいサイズにカットして保存をしておこうとキッチンに持って行った。
部屋には甘ったるい匂いがしている、甘ったるくても、爽やかな匂いが。
(良かった、普通に食べられた……)
と安心して、真依はスイカを切り分けてゆく。
手元を注視していたため、彼の行動にはこのとき目を向けていられなかった。
「ねぇ、真依さん、」
だからほんとうに突然、耳もとで声がした。
いつの間にか屡薇は背後から、彼女を抱きしめていた。
「俺のスイカは食いたくねぇの?」
しかもちゃっかり、俺のスイカ事件(?)を忘れていなかった。
「おお覚えてたの!?」
「覚えてなかったらわざわざ本物のスイカ買ってこないよ〜。」
真依は驚きのあまり想像上では包丁を彼の脇腹あたりに刺していたが、知る由もなく余裕の屡薇は楽しそうに笑っている。
「俺もう、スイカ食ってる真依さんがエロすぎて我慢できなくなってる……」
「ちょっ……ここではやめてよ……それにスイカって、食べてても別にエロくなんか……あっ、」
より強く抱きしめられ、髪を撫でて覗いた項にキスをされ、真依は微かな嬌声を上げる。
ちゅっ……ちゅ……
「あっも…っ、ダメ…っ、」
抵抗を見せようとする彼女から包丁を奪い取り、屡薇はシンクのなかに置いた。
この日のためにスイカを購入し、スイカもどきになれるコンドームも用意してある。
「ダメなの?声は甘ったるいのに……」
残念そうに口にした彼はスカートをじりじりとたくし上げる。
キッチンではやめてと言っている彼女は、今すぐにでも欲しがっているようにしか思えない。
「やだあ…っ、見えちゃう…っ、……っん…っ、」
少し身を捩った真依は調理台に片手を突き、脚を這う手を引き留めようとする。
振り払い、太股は露にされる。
「見えたら困るってことは、すでに濡れてるんだ?」
痛いところを突いて、屡薇は柔肌にゆびさきを食い込ませた。
ドキッとした真依は何も言い返せなくなり、息を荒らげる。
今日は酔ってもいないし媚薬も使われていないので、ビッチになることもなく抱かれたかった。
気分が許す限り。
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