※※第324話:Make Love(&Doting).196








 一度抜かれてしまい、ナナはスカートも脱がされた。
 彼が溢れてどうしようもなく懸命に締めつけている彼女の前、薔も全部脱ぎ捨てる。

 床にはふたりぶんの衣服が凄艶に散っていた。


 「あ…っあっ、あん…っ、」
 ソファに押し倒されたナナはぐいと脚を開かれ、焦らすみたいに、ラビアを彼のモノで擦られる。
 クリトリスもヌルヌルと撫でられて、それだけでイけてしまいそうだった。

 「また大きいの挿れて欲しかったら……自分で脚持ち上げろよ、」
 じりじりさせて、薔は導く、抗えないナナにとっては魅惑的な命令のようなもので。
 「んっあっ…あっ、ああ…っあっ、あっっ…あ、んっ、」
 彼女は自ら脚を掴み、M字になるよう持ち上げた。

 「……おねだりは?」
 それでも、さらに焦らされる。
 妖美に微笑む彼は見下ろし、視線で捕らえ、心を縛り上げて離そうとしない。
 離れることは許されない、もちろん、ナナも許さない。

 「あっい…っ、挿れてくらさ…っ、薔…のっ、……おちんちん…っ、」
 恍惚の表情で、ナナは懇願した。
 きちんと、“何を”挿れて欲しいのかも、言葉にしていた。

 「……ん、よく出来たな?」
 あたまをよしよしすると、薔はなめらかに挿入した。
 「あっあああっっ!あっ…ああっあっ、ああああああっっ、」
 挿れられてすぐに絶頂となったナナは再び、激しく突かれ乳房を揺らす。

 「俺のがたくさん泡立ってるぞ?おまえのここ……」
 示すためにも執拗に突き上げ、彼は高い淫音を聞かせる。
 辱しめて、彼女を悦ばせている。

 ズチッ…!ズチュッ――…!

 「あっ…んっあ…っ、あっあああっあっ、あんっあ…っ、あっあ、あ…あっあああぁあっんっ、」
 昂るナナは収縮を繰り返し、小さな潮吹きも断続的に起こす。
 攪拌されゆく感覚も極上の悦楽だった、泡立てているのは彼が与えるピストンなのだから。

 「やらしくて堪んねえ……おまえには魅せられてばっかだ……」
 彼女を強く抱きしめた薔は肩にキスの痕をつけて、息を乱した。
 圧倒的に魅せられているのはナナのようでいて、じつは同じなのかもしれない、その証拠にふたりは同じ世界を見ている。

 重なりあった裸体の動きはしなやかだった、抱きついたナナは彼の頼もしい背中にゆびを這わせる。


 「あああああぁぁんっっ!」
 オーガズムを得た彼女は、彼の腕のなかで戦慄いた。
 肌をくちびるが滑り、鮮やかなキスマークが増える。


 「…――――――俺が壊したいのは、おまえだよ……」
 狂おしい吐息に乗せて、薔は囁いた。

 「でもおまえだけは壊せねぇから、……俺が壊れてくんだ、きっと……」

 悪戯っぽい笑みは、同時に危うくもある。


 激しく愛しあうふたりは、未完成のパズルを共有していた。
 彼が壊れてしまう前に、パズルを完成させる必要がある。

 とは言え、パズルは完成させたあと――何度でもばらばらにできてしまうのだ。
 それなら未完成のままが最も、完成された作品に近いのかもしれなかった。














  …――My heart is going to break.

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