※※第315話:Make Love(&Ravish).191
旅館で結果的にダブルデートの二日目、ナナとこけしちゃんの意気投合により(むしろこけしちゃんの計らいにより)帰りはメインカップルもベンツに乗せてきてもらった。
ナナとふたりきりで帰りたかった薔は終始ご機嫌ななめで、こけしちゃんは脳内に腐的なカップルを思い描き悦んでいるかと思いきや、媚薬を使われてしまった昨夜が強烈で珍しく自分の世界に照れていた。
メインカップルを誘ったのも、美麗なる要×薔を拝ませてもらうためではなく気まずさを払拭させるためという、わりと異例の事態となっていた。
そんな夏休みの一泊旅行デートだった。
お世話になったナナ宅には無論、お菓子のお土産を持ってわんこたちのお迎えに行った。
ナナ母は美味しそうなイケメン(とお菓子)に心で歓喜し、ナナ父はわんこたちとのお別れに号泣していた。
やっぱりそんな夏休みの一泊旅行デートだった。
旅館でしっぽりのあとには、宿題が舞い戻ってくるわけで。
「薔っ、今度はどこにデートに行きますか?」
浴衣まで乱してエッチ三昧の賜物か、ナナはてきぱきと宿題を進めつつ次のデートへの思いを馳せていた。
彼と行けるならどこだって嬉しいし、楽しいし、自分が今までに知らなかった世界をたくさん彼は教えてくれる。
ナナのほうが実年齢でいくとめちゃくちゃ年上なのに、生憎彼と一緒に行ってロマンチックな雰囲気になれそうなデートスポットはぜんぜん知らない。
なのでいつも、ナナが行きたい場所の要望を出したとしても最上のデートプランは彼が考えてくれる。
ほんとうなら宿題なんて放って、今日だってデートしたいくらいなのに。
夏休み明けのテストの補習を何が何でも回避させたい彼の気持ちも、ちょっとは察してあげよう。
「おまえはどこがいい?」
薔はいつも彼女の要望を汲んでくれるし、どこでもいいからデートをしたいなんて場合には彼女を喜ばせようとさりげなくサプライズとかも考慮してくれている。
居酒屋での流れでナナがテンションに任せて「温泉に行きたい」と言ったのを、きちんと覚えていてくれたし。
「わたしは薔と一緒ならどこでも行きたいです!」
「つうかおまえは俺と一緒じゃなきゃどこにも行けねぇだろ。俺が行かせねぇしな。」
「それもその通りでございます!」
はしゃいだナナはもう近くのコンビニとかでも申し分なく(デートなのに)、薔はさっそくスマホ(←りんごのほう)を取り出し彼女が喜びそうな行き先を検索し始めた。
悔しいが、でこぼこのイベント開催とかあるいは実写版映画とかが上映中だったりはしないかと、とりあえず探してみる。
[ 122/536 ][前へ] [次へ]
[ページを選ぶ]
[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]
戻る