※※第312話:Make Love(&Sex aid).40








 「うぅぅぅんぅぅ……」
 こけしちゃんはニコニコのなかでも真剣な表情で、悩んでいた。
 明日は待望の日曜日なため、夕方からはゾーラ先生とデートである。
 着ていく服について悩んでいるのか、彼氏が手に入れたあの妖しい袋の中身はいったい何だったのかと悩んでいるのかと思いきや。

 「やっぱりぃ、綾瀬さぁんも攻めでいけるなぁぁ……薔くぅんのこと大好きそうだったしぃぃ……」

 完全に、あっちの世界のことでだった。
 新しい攻めキャラが増えて妄想がエロくこじれてくれることは嬉しいことであり、綾瀬にとってもこけしちゃんに認められたのは朗報である(たぶん)。
 あわよくば、お友達にならなれるかもしれない、お友達以上を狙おうとしたものなら眼鏡の先生がジョージに鉄槌を食らわすこと間違いなしだ。


 「あぁぁ、創作意欲が沸いてきちゃったぁぁ……」
 いそいそとノートを取り出したこけしちゃんはまず、見事なまでの薔の総受け状態で相関図を書いてみた。
 明日はデートで確実に媚薬を使われるというのに、この平和ようったら。


 “……寝る……”
 呆れたゲイちゃんはこけしちゃんのベッドのど真ん中を陣取り、熟睡タイムに突入。
 もしも綾瀬が猫を飼うことになったら、こけしちゃんは綾瀬にとってもある意味先輩となる。


 けっこう綿密に相関図を書いていたこけしちゃんは、なぜか真ん中だけは空白にしておいた。
 もちろん、そこには主人公の要先生が描かれることになる。

 「………………。」
 にっこにことペンを止めたこけしちゃんは、ただ単に「要先生」と書くのが恥ずかしいだけだった。
 明日はきっと、呼ばされることになるだろうから。

 つまり、明日へ向かって高まるドキドキを、創作意欲で紛らそうとしていた。
 なかなかいいところまでは書けた、全ては要先生のせいだ。



 「えっとぉぉ……ここが埋まらないとぉ、話にならないのねぇぇ……」
 照れたこけしちゃんは相関図はいったん置いておき、明日着ていく服を選び直すことにした。
 何かしていないと、落ち着かない。


 「ぜぇったいにゾーラ先生ぇ、何か企んでるなぁぁ……」
 ハンガーに掛かった服を両手に持ってみたこけしちゃんは、ぽつりと呟いた。
 デートに誘ってくれたとき彼は、早くまた会いたいという気持ちを抑えきれずにいるように感じられた。
 さすがいかがわしい教師、バレバレです。

 何を企んでいるのかわからないこけしちゃんにはちょっとだけ、逆に彼に悪戯を仕掛けてみたい気持ちが芽生えていた。

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