※※第267話:Make Love(&Precious).162








 R指定といっても過激なエロではなく、ほどよいエロスだった。
 人気のある若手女優さんが初の濡れ場に挑んだということもあり、真依にはけっこう衝撃的だった。

 そんな彼女は衝撃のあまりか無意識のうちに肩を寄せてくるため、正直屡薇はムラムラきちゃって困っている。
 スクリーンの薄明かりに照らされポップコーンをそろそろと食べている口許も、やけに色っぽい(※屡薇ビジョン)。


 時々わざと、ポップコーンに伸ばされた手に偶然のフリをしてゆびを当ててみると、真依は声を上げないようにして驚くので彼は笑いを堪えていた。
 祥子とは、映画館デートに来たことすらなく、屡薇にとっても新鮮なカップルシートを満喫していた。















 ――――――――…

 「あ…っ!い…っ、痛…っ、」
 夕陽も沈みかけている、放課後の教室。
 痛みに喘ぐ甘やかな声が、微かに響いていった。

 「痛いのが嫌なら、大人しくしていなさい…」
 とうとう我慢ができず、生徒に咬みついてしまった要はゆっくりと牙を抜き、囁いた。
 伝う血液をいやらしい舌づかいで、舐め上げる。
 「……っ、ん…ッ、」
 抵抗するちからを急速に奪われながら、薔はぞくぞくと背筋をふるわせた。
 抱かれた背中にはゆびが食い込み、シャツが引き裂かれそうになる。

 「感じてくれているとは、驚きだね……」
 ふと笑った要はまた深々と、傷口に牙を突き立てる。
 「あっ…んん…っ!」
 痛いはずなのに上がるのは嬌声ばかりで、腰が砕けた薔は傍らの机に無理矢理押し倒された。

 素直な反応を見せてしまっているその場所を、制服越しに撫で回す手が絡みつくみたいで。
 濡れて乱れた息づかいは荒くなり、聴覚を刺激する。


 「君の血液は媚薬のようだ、このまま犯してしまいたくて堪らない…」
 要も息づかいを抑えきれず、乱暴に彼のシャツのボタンを引きちぎった。
 「や…っ、あ…っ、」
 同時にソレを掴まれてしまった薔は躰を反らし、鮮やかな血液が机上に滴る。
 咬まれた傷口は淫らな熱を帯び、媚薬はまさしくそこに感じられた。
 新しく赴任してきた教師がヴァンパイアだった事実に、驚くこともほとんど許されなかった。

 このまま好きなように貪られたくて、仕方なくなっている。


 「反抗的な態度にも、ずっとそそられていたよ、捕らえた時の悦びが大きい獲物ほど、離したくなくなる……」
 次々と扇情的な吐息を上げるくちびるにくちびるを寄せた要は、躊躇うことなく彼のベルトを外していった。

 「私のつがいになってくれないか?薔……」
















 「なななんかちょっと違うよこけしちゃ――――――――――んっ!」
 大興奮のなかノートを熟読していたナナは、ついに萌えとツッコミの雄叫びを上げた。
 あと醐留権先生の台詞の一部分が、フルネームに聞こえなくもない、のか?

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