※※第260話:Make Love(&Escape).157








 低価格(百均)で購入してきたミルクフォーマーを使って、ナナはこけしちゃんにラテアートのやり方を伝授してもらった。
 正直、通常なら白いお粥でさえも真っ黒にさせてしまう謎の料理の技術を持っているナナには難易度が高すぎて手こずるに手こずったが、何とか、初心者なりにハートっぽいものを描くことができた。

 「うわあ、ありがとう!こけしちゃん!」
 「いえいえぇぇ。」
 ナナはこんなこともできる時代なのかといたく感動し、サンドイッチとケーキ(量販店のやつやら)と共にさっそく彼氏であり執事さまでありご主人様のもとへと運んでいった。

 「ご主人様のために、ハートを描いてきました!」
 「初めてにしちゃあよくできてんな、すげえなこれ。」
 差し出されたラテアートに薔は感心し、ナナは照れる。
 予め説明をされなくとも一目でハートだとわかったところが、一番の感心ポイントでもあった、ナナ画伯はラテアートでは画伯になれる、のか?

 彼女を作ろうという気持ち満々で学園祭に訪れた他校の男子生徒たちには、突き刺さるかのようなリア充感が漂いすぎている。

 「つうか、何でおまえの分はねぇんだ?」
 「えっ!?」
 カフェラテから顔を上げた薔は当たり前のように、言葉にした。

 「一緒に食うんだからちゃんと持って来いよ。」










 どうやらご主人様はただおもてなしをされるだけではなく、メイドと一緒にお昼休みを取りたい模様です。

 「かっ、かしこまりました、ご主人様!」
 嬉しくなって赤面してしまったナナは急いで、自分のぶんも用意をしに裏方へと入っていった。
 今までメイドと一緒に飲食をしたご主人様は一人もおらず、さすが大物は待遇が違うという点に皆さんは改めて感心しまくった。

 自分のぶんには特にラテアートとかは必要ないと思ったナナはこけしちゃんに教えてもらいながらカフェラテを煎れて、大急ぎでケーキを2つ(←2つ)も持って彼氏のもとへ戻った。



 「おっ、お待たせいたしました!」
 メイド喫茶にて、テーブルを囲みながらなんだか物珍しいメイドと執事カップルはふたりっきりワールド全開となる。
 慌てすぎた彼女が汗ばんでいるので、お化け屋敷でのエッチの件もあり薔はムラッときてしまった。

 「おまえ、ケーキ2つで足りるのか?」
 「じつはちょっと足りないんですが、もっと食べてもいいんですか?」
 「いいに決まってんだろ。」
 ここの支払いは全てご主人様持ちで、ナナは遠慮しかけたがケーキとサンドイッチを追加させてもらった。


 (お化け屋敷の恐怖に……悲鳴を上げたりしたからだよね?)
 クラスの皆さんは、実際のところお化け屋敷で悲鳴を上げさせられたのはお化けさんたちだったのだけど、懸命にそう心へと言い聞かせていた。
 ナナがお腹を空かせている理由について。

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