※※第252話:Make Love(in Pool).151













 唯一の溺愛、
 無二の狂気、
 ただひとりに捧げている。
















 焦らしも兼ねてのエッチをこっそり岩場に隠れてしてしまったあとは、主に彼女の服を乾かすための浜辺でのイチャイチャタイムも満喫して、ナナと薔はホテルのチェックインに向かった。
 まさかの貸切状態という、今夜の宿泊客はふたりしかいない高級ホテルである。

 ふたりぶんの荷物は薔がホテルに預けてくれてあったが、ナナはまずフロントの広さに愕然とした。
 受付カウンターをステージにしてどこかのアーティストがライブでも開催できそうなくらいに、とにかく善美だった。

 貸切状態にするのに、いったいいくら掛かったのか謎めき過ぎている豪華さである。




 周りを見回しナナが口をあんぐりと開けていると、特にどうということもなくスマートに薔はチェックインを済ませた。
 受付のお姉さんは何というか、お金を持っている超絶美形に対し頬を赤く染めて畏まり過ぎていたが彼はまったくその点については気に掛けていなかった。
 ナナはちょっと、お姉さんの態度にはイラッとした。

 ホテルは33階建てで、プールは3階という一つの階を立派に陣取っており、19時から22時までは自由に使えるということだった。
 ちなみに、ふたりの部屋は最上階に予定してあったが、高すぎてナナが恐がるのなら妥当なとこで15階くらいに変更することも容易かった、何せ貸切状態なのだから。

 この状態ならほんとうに、こけしちゃんとゾーラ先生とか羚亜と愛羅とか、時間が合えば屡薇と真依とかいくらでも連れて来られたのに、むしろゾーラ先生を連れて来れば半額くらいぽんと出してもらえたかもしれないのに……決してそれをしないのが薔です。
 みんなで海のデートについては、こけしちゃんの粋な思惑に託すしかありません。




 「なっ、なんか、緊張しますね…!」
 「俺たちしか泊まってねぇのに何で緊張してんだ?」
 ホテルのきらびやかさに圧倒されたナナは、鍵を手にした薔にエスコートされて部屋へと向かった。
 荷物も彼が持っており、ベルマンの案内は予め断ってあった。

 乗り込んだエレベーターもまあ広くて、宿泊客にゾウでも来るのだろうかと思われるほどのスペースになっている、大袈裟に表現はしましたけれど。


 ナナは彼にぴとっとくっついてしまうと、海で焦らされた熱が中にまで蘇りエレベーターのなかでキスをしてほしいくらいだった。
 薔はわざとなのか涼しい顔をして、キスをしてくれる気配などこれっぽっちもない。

[ 324/537 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る