※※第244話:Make Love(&Make Love!).15







 「何とかするってぇ、どうやってぇぇ?ゾーラ先生ぇが教室に行ってぇ、持ってきてくれるのぉぉ?」
 こけしちゃんはニコニコ厳しく、質問をつづける。
 そろそろ、「声が漏れてしまってもいいのかい?薔(※この場合は悠香)……」がきてもいい頃なのだが、こちらはなかなか発展しない。

 「そんなことまでする必要はないだろう、ちょっと待っていなさい。」
 あきらかに様子がおかしい醐留権はきちんと整えられていた机の上に、引き出しのなかからあれやこれや(ペンとか定規とか)を手当たり次第に取り出してみてから、

 「そ、そういえば、学園祭の準備は、順調かい?」

 あからさまに不自然に、話題を変えた。
 爽やかな眼鏡スマイルを作っているが、机のうえとの散らかりようがまたミスマッチである。


 「………………。」
 にっこにこのこけしちゃんは、質問には答えなかった。
 ゾーラ先生の意図が、否応なしにわかってしまったからだ。

 どうせならストレートにきてほしかったが、彼のこんな姿も可愛くはあるので良しとしよう。


 「えっとねぇぇ、ゾーラ先生ぇ、あたしの予定だとぉ、すでに机の上に嫌がる薔くぅんを押し倒してぇぇ、シャツをはだけさせてるんだけどぉぉ。」
 「どういう予定だい!?それは!」
 こけしちゃんは思いきって、己の予定を明かしてみた。
 私は生徒にいったい何をしているんだ!?と考えたゾーラ先生だが、相手がこけしちゃんなら実際に色々しているよ。



 「ほんとうにぃぃ、テスト勉強が目的だったのぉぉ?」
 一驚させた後にこけしちゃんは、率直に尋ねて彼氏の反応を窺おうとする。
 「いや、まあ、それは……」
 俯き加減に醐留権は、気まずそうにしている。

 羚亜のアルバイト初日見学のあと、お迎えもあるために特に何もせずに彼女を帰した醐留権先生はもしかしたら、彼女とテスト勉強をしていたらあわよくば、を狙っていたのかもしれない。

 だったらここは是非とも、妄想のなかの要先生のように、ガバリ!ときてほしいものだ。




 「ふぅぅ……」
 こけしちゃんは溜め息をつくと、彼氏の本音を探るためにも、

 「たまには学校でぇぇ、(薔くぅんを)襲ってほしいなぁぁ……」

 対象を隠して言葉にしてみた。
 廊下を生徒たちが通りすぎていった、笑い声が聞こえてくる。


 彼女が見事なまでにボーイズなラブの対象を隠して呟いた直後、ゾーラ先生のなかでは理性が確かにぷつりと切れた。
 じつは先生はかなり我慢をしております、仕事だって毎日残業もしてがんばっているのだから、たまにはご褒美も欲しくなるのです。

[ 201/537 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る