※※第201話:Make Love(&Obscenity).118
「お帰りなさいませ、鎧さま。」
到着ロビーにてお出迎えをした如月は、畏まって頭を下げた。
ピシッとしたスーツを着てはいるが、またいちだんと逞しくなったような気がしてならない。
如月は夕月のために、一本の黒い長傘を手にしている。
「如月、お前はどこまで体を鍛えれば満足するんだ?」
「そちらにつきましては、私にもわかりかねまして…」
「何だそりゃ。」
主の第一声に如月はいささか困った表情で返し、夕月はただ優雅に笑っているだけだった。
スマートなスーツ姿で帰国した夕月の荷物は少なく、中にはとあるイベントの招待券が二枚入っている。
「越谷との約束は21時だな?」
「はい、その後の23時からは打ち合わせとなっております。」
颯爽とロビーを歩いてゆく夕月の少しだけ後を、恭しく如月がついてゆく。
洗練された雰囲気は、際立っていた。
ちなみに、如月が濡れないように傘はきちんと二本用意しないと注意をされるため、源(げん)さんは折り畳みのじつにファンシーな傘もばっちり用意はしてあります。
「まぁ、俺にとっちゃそれらは全部名目なんだよな、」
歩きながら窓の外、雨が降る夜の景色へと目をやった夕月は、
「ここにきていきなり過保護か……」
ふっと、どこかしら自嘲的に笑った。
その意味がよくわかる如月は、黙って後をついて行ったのだった。
――――――――…
「あぁぁ、ゾーラ先生ぇからお返事きたぁぁっ。」
お風呂上がりのこけしちゃんは、髪もまだ濡れたまま、パァァと瞳を輝かせた。
22日についての探りをこっそり入れるためにも、こけしちゃんがLINEで送った内容は以下の通りである。
“ゾーラ先生は今週は、金曜日も忙しいの?”
LINEとかではてきぱきと喋ることができるこけしちゃんは、はてなマークのついた可愛らしいくまのスタンプも添えてみました。
無論、このギリギリになって金曜日という話を出せば、彼もさりげなく気づいてくれるだろうというのが狙いでもある。
トーク画面を開いてみると、醐留権からの返事はこうだった。
“すまない、桜葉。今週はずっと残業なんだ。よかったら、中間テストが終わってからデートでもしよう!”
そのあとに何だか力尽きているようなパンダのスタンプが送られてきていた。
「えええぇぇぇっっ!?」
こけしちゃん、びっくり仰天。
ゾーラ先生はすっかり、自分の誕生日についてを忘れているようである。
ご褒美デートについてはここぞとばかりに持ち出してきましたが。
“おれはもう知らねぇぞ?眼鏡、”
こけしちゃんのベッドのど真ん中を陣取るゲイちゃんは、呆れ返って大欠伸をした。
……どうなる?
ゾー誕(※ゾーラ先生の誕生日を略した結果こうなりました)。
…――Please notice!
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