※※第201話:Make Love(&Obscenity).118
「大丈夫ぅぅ?ナナちゃぁん、」
書いた張本人のこけしちゃんが、心配そうに駆け寄りナナを抱き起こす。
ちなみにナナは授業中にも授業内容そっちのけでこけしちゃん小説を熟読しており、休み時間についにイイトコロに到達したために堪えきれずにぶっ倒れた模様です。
「こっ……こけしちゃんさま……なぜに、こんなことに……」
ハァハァと息を荒げながら、ナナは支えられて体を起こし何とか席へと着いた。
「あのねぇぇ、ゾーラ先生ぇのお誕生日プレゼントはぁ、やぁっぱり薔くぅんだなぁぁって考えすぎた結果ぁ、こうなっちゃったのぉぉ。」
「どひゃああだよ、もう……」
こけしちゃんはニコニコと腐的な願望を明かし、ナナは続きを読もうと再びノートへ視線を落とす。
いよいよゾーラ先生の誕生日も二日後に迫る水曜日となりましたが、こけしちゃんには是非とも自分自身をプレゼントしてほしいところである。
次こそは読ませてもらおうと、腐女子隊の隊員たちはノートをこぞって狙い始める。
そんななか突然、
ひょいっ…
ノートは背後より奪い取られた。
……あああああああっ!
……あああああぁぁぁっ!
乙女たちにピンチ到来か。
震撼した隊員たちは目を逸らし出来る限り縮こまる。
「見ちゃダメですーっ!」
慌てて立ち上がったナナは、真っ赤になって全力で阻止にかかった。
「どーせ俺が出てくんだから何も問題ねぇだろ。」
「問題ありすぎますよーっ!」
薔はそら険しい雰囲気で彼女の手が届かないようにとノートを持ち上げ、つま先立ちでぴょんぴょんと跳び跳ねるナナは必死になって両手を伸ばしている。
「ふうぅぅ…」
ここまでくればもう大丈夫ぅぅと確信したこけしちゃんは、一息ついて席へと座った。
隊員たちは隊長のおっとりように、大感心。
「ううう…っ、それはダメなんですってばぁ、薔…っ、」
ナナはうるうると潤んだ瞳で懸命に両手を伸ばし、飛び跳ねているため、
「………………。」
ムラッときちゃった薔はノートのことなどどうでもよくなった。
「おまえすげえ可愛いな、こんなん放っといて向こう行くぞ?」
「えええっ!?いいんですか!?」
ノートは放られ(すかさずこけしちゃんがキャッチ)、強引に手を引かれるナナはひとまず彼の教室へと連れ去られた。
周りは惚れ惚れと見守っている。
「あぁぁ、薔くぅんがナナちゃぁんにメロメロで助かったぁぁ…」
「桜葉さんてほんと、怖いもの知らずだよね……」
腐に於いてはまったくその通りの隊長を前に、隊員たちは感動すら覚えていたのだった。
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