※※第229話:Make Love(on Her bed).135








 「ごめんね!ハニーのために残業がんばってきちゃったよ!」
 途中コンビニで妻への手土産にお菓子も買ってきたので、ナナ父が帰宅をしたのは21時近かった。

 「ナナぁ!しばらく見ないうちに大人っぽくなって!」
 カフェで見たので、しばらくというわけでもない気はしなくもないが、大人っぽくなったというより色っぽくなったのだと思われる娘へとナナ父は抱きつこうとした。


 ひょいっ…

 「おまえここに何かついてるぞ?」
 「え…っ?ほんとですか?」
 例え実の父であっても抱きつくことは許しはしなかったようで、さりげなく薔が彼女を抱き寄せたためにナナ父の娘へのハグは空振りで終わった。

 「あぁ、悪りぃ、耳だった。」
 「耳はいつもついてますよ!(エッチしてたので)すんごいびっくりしちゃったじゃないですかぁ!」
 薔としては特に何でも良かったようで、まさか妖しいものとかがついているのかと焦ったナナは真っ赤になった。




 「雅之、お疲れさま。野暮をしている暇があったらさっさと原稿を持ってらっしゃい?」
 「ハニーぃ…!そうするよ!」
 労いの言葉を掛けてもらえたナナ父は、感動しながら友人スピーチのために書いた原稿を取りに行った。
 夫をうまくたしなめたナナ母は、ナナが制服のリボンをつけていないことと薔がネクタイを解いてあるという、ちゃんとした間違い探しはできていた。
 なので、上機嫌でした。













 ハリーは葛篭先生とディナーも楽しんで来るようで、今日は帰りは遅いようだった。
 それなら尚更、原稿の確認にはうってつけの日だったかもしれない(こっそりセックスもできちゃったし)。

 黙って原稿を読んでいたナナと薔は、ナナにはよく内容が理解できていなかったが、薔は顔を上げてナナ父へと微笑んだ。

 「特に直す必要はないと思います、お父さん。」









 「おっ、おおっ、おとっ……おとっ、おとっ……ありがとう!薔くん!」
 何かを言いたげなナナ父だったが、決して言えはしないので“ありがとう”に落ち着いた。

 「いちおう、冠婚葬祭のマナーについてはいくつか調べて書いたからさぁ、良かったよ!」
 「お父さんのお役に立てて何よりです。」
 「もうほんと、ありがとうね!」
 おまけに、安心したため照れまくり、二度目のお父さんについてはすんなりと受け入れた。



 「さあ、そろそろご飯にしましょう。」
 ナナ母は原稿を確認しているあいだに、リビングへと料理や取り皿やなんかを運び込み、夕食の準備は万端となっていた。

 「ハニー、今日は冷やし中華じゃなくて、ほとんどお肉だね……」
 「雅之は残業で疲れているでしょう?これは全部スタミナ料理よ。」
 「ハニーぃ!」
 娘夫婦(ではまだないけど)の濃厚な夜を手助けするために作られた料理ばかりだが、愛する妻の言葉にナナ父はさらなる感動を覚えた。


 「あの、この漢字は何て読むんですか?」
 「それは辞書引けよ。」
 「ええ!?読めなかったら引けないですよぉ!」
 ナナは原稿にどうしても読めない漢字がいくつかあったようで、一つを彼に尋ねてみたが、やはり辞書だった。




 花子は豆と仲良くお留守番ですが、そのうち一家になるかもしれない?皆で、夕食の時間は遅くとも楽しく過ごせそうな予感です。
















  …――It's soon wedding!

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