※※第228話:Make Love(&Sexily).134















 「薔ちゃ〜ん!俺もうどうしたらいいのかよくわかんねぇよ、頼むから相談に乗って!」
 昨日は彼女に走り去られ、連絡をする勇気すら失いかけている屡薇は次の日の晩、お隣さん(通称:愛の巣)へと泣きついてきた。
 今日は一度も、真依へと連絡をしていない。
 ちなみに切羽詰まった勢いに任せて薔へと抱きつこうとしたが、何ともするりと躱された(こけし姉さんも真依も残念)。


 「……仕方ねぇな、こないだは世話んなったしな、相談ぐれえなら乗ってやるよ。」
 しかしながら、先日の竜紀の襲来の件では世話になったこともあり、薔はきちんと今回は相談に乗ってくれる様子だ。
 「ありがとう、薔ちゃん、これぞ神対応!」
 その節の屡薇なりの御礼としてのアダルトグッズの話はひとまず置いておき、今夜は純粋に恋愛相談のために屡薇は愛の巣へと上がり込んだ。
 真依はもう仕事を終えて、帰宅しているだろうなとか、考えているのは彼女のことばかりだ。








 「あ!この間はどうも!」
 リビングではナナが夕食後の寛ぎの時間に、私服のうえにザザえもんの浮き輪をつけていた。
 わんこたちはナナの周りで、仲良くはしゃいでいる(豆はご主人様来ているよ……)。

 「何で嫁さん浮き輪なんかつけ」
 「おい、勝手に見んじゃねぇよ。」
 私服のうえに浮き輪をつけている姿にキョトンとする間も与えられず、屡薇は後頭部を掴まれ反対方向へと強引に向かせられた。
 薔は“嫁さん”については悪い気はしておりませんが、浮き輪姿を見ることは断じて許しはしなかった。


 「ナナが浮き輪をつけてんのは、俺だって今日初めて見たんだぞ?すげえ貴重な姿なんだよ。」
 「ごめんなさい……薔ちゃんさま……」
 「薔っ!?」
 そら険しい雰囲気でそっぽを向かせている屡薇を薔は諭し、屡薇は素直に謝り、ナナは真っ赤っかとなった。
 わんこたちははしゃぐのを止めて、それぞれのやりとりを見上げたりしている。

 「今一瞬でも見たことは全て忘れろ、いいな?」
 「なんか薔ちゃんのが……ヴァンパイアみたい。俺、暗示かけられてるような気分になってきた……」
 「ごちゃごちゃ言ってる暇があんならさっさとベランダに出ろ。」
 「はい……」
 まるで暗示にかけられているかのような気分に陥りながら、屡薇は薔に後頭部を掴まれそっぽを向かされたまま共にベランダへと向かって行った。

 恥ずかしくて、とりあえず輪というものの中には入っているがナナはそろそろと浮き輪をつけたままソファに座って待機することとした。
 ちなみにこちらは、後に教えてもらえた手動式ポンプで難なく膨らますことができた代物であります。

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