※※第226話:Make Love(&Privily).133
コンビニの店員をひたすら畏縮させつつもナナと薔は終始ふたりっきりワールド全開で、登校してからのこと。
「はぁいぃ、ナナちゃぁん、これあげるぅぅ。」
「えっ?なになに?こけしちゃん。」
にっこにこのこけしちゃんが、ナナへと何枚かのシールを差し出してきた。
どうやらこけしちゃんはキャンペーンのCMを観たとたんにピィィンと来たようで、さっそく家にあったフジザキパン(もうごめん)のシールをあるだけ持ってきてくれた模様だ。
しかもご丁寧に、専用のシートに貼り付けた上で。
シールを見たナナは、たちまち瞳を輝かせると、
「こけしちゃんさまーっ!」
はしゃぎながら親友へと抱きついたのだった。
「ありがとう!助かるよーっ!」
「それならナナちゃぁん、このあつぅぅい抱擁はあたしにとってはぁ、命取りかなぁぁ?」
「ええええええ!?」
こけしちゃんはにっこにこが止まらない様子だが身の危険は感じたようで、ナナは意味がよくわからずに未だ抱きついたままびっくり仰天していた。
5点は一気に、12点へと増えた。
その頃、2-1の教室にて。
「あの……薔くん、」
「あ?」
羚亜が控えめに、薔へと声を掛けてきた。
やや困惑しているようにも見える羚亜はフジザキパン(ごめんのくだりはもうここからは割愛で……)のシートを、何枚も手にしている。
「これ、三年の鮎佐さんが薔さまに渡してって愛羅さんに頼み込んできたようで、最終的に俺が預かったから今のうちに渡しておくよ……」
「………………。」
羚亜はなぜこんなにもフジザキパンのシールが必要なのかわからないためにやや訝しげとなっていたが、親衛隊隊長こと果蘭は以前の“一日中緑茶(←ここにもなんだかごめんが……)キャンペーン”の件を思い出し、気を利かせて隊員たちを召集しシール集めを徹底して週末に行ってくれたようだ。
彼女のザザえもん好きがここまで広がっていることには多少ご機嫌ななめとなったが、何だかんだでナナは喜ぶので薔はそのシートたちを受け取った。
60点という目標に向かってコツコツといくはずが、ここで、12点が一気に500点を越した。
となるとこの時点で、花子と豆のぶんまでもれなくもらえてもまだまだもらえることとなった。
果蘭を筆頭に皆さんがこっそりキラキラした瞳でギャラリーに徹していると、
ガタン
と席を立った薔がギャラリーのほうへと近づいてきた。
皆は息を呑み、「余計なことをすんな」と叱られるのであればそれはそれで非常にありがたいことだと思っていた(Mっ気のなせるわざ)。
2-5の教室へ行かれるのだろうと道を作った女子生徒(たまに男子)たちへと向かって、薔は堂々と言葉にした。
「頼んだ覚えは無え上に量が多すぎんだが、素直に言っとく。ありがとな?」
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