※※第224話:Make Love(&Internal).131







 「あの〜、俺あいつの彼氏じゃねぇから、安心して……」
 「まだしらを切る気なの!?」
 屡薇はなだめようとするのだが、相手はまったくもって聞く耳を持たない。
 メンバーたちは話がややこしいことになっているため、高みの見物を決め込んでいる。


 「だいたい、ガチホモだなんて、聞いて呆れるわ!私が彼の目を覚まさせてあげる!」
 大女優は後退りかけた屡薇の腕を、引っ張るように掴んだ。

 その瞬間、

 「ふざけるんじゃない!」

 怒りの叫びを響かせた真依が、それは勢いよく女優の手を彼氏から引き剥がさせた。




 「真依さん……」
 屡薇は感動した、彼女はきっとヤキモチを妬いてくれたのだと。
 「あなた誰?マネージャーさん?」
 大女優さんは怪訝そうな表情で、今現在怒りを向けている人物の正真正銘の彼女である真依をまじまじと眺めた。

 てっきり、「屡薇くんはあたしの彼氏なの!」とか返してくれるのかと思いきや。


 「ガチホモの何がいけないの!?演技力に定評のある女優のくせに、そんなくだらない偏見を持っているだなんて、ほんと最低!」
 真依の怒りポイントはそこにあったようで、憤怒の形相で説教を始めた。

 (怒るとこそこかぁぁあ!)
 屡薇は思わず失意体前屈(orz←これ)をしそうになった。




 「あなたみたいな人がいるから、ゲイの方々は肩身の狭い思いをしなくちゃいけないんだよ!?ただ男が男を好きなだけなのに、立派な恋愛なのに!どうやっても実らない恋に苛んだりたくさん傷ついたりして、好きな人に彼女ができたら顔では笑って心で泣いて、自分の気持ちを必死に押し殺したりして、それでもひたむきに男を愛しているだけなのに、どうしてその気持ちを汲んであげられないの!?」
 真依は厳しく大女優へと向かって、説教をしてから、

 「あ……ダメだ、あたしが泣けてきた……」

 腐女子故の感情移入をしすぎたのか、思わず涙を流した。


 (俺ももう、泣きたい……)
 彼女に目の前でゲイについて力説されただけの屡薇も、一緒に泣きたくなっていた。
 少しだけでいいから、彼女視点での怒りをぶつけてほしかった。


 すると、真依の説教を黙って聞いていた大女優さんは、

 ホロリ……

 演技力ではなく真摯にゲイの気持ちを汲もうとしたのか、もらい泣きをしていた。

 「そうね……あなたの言う通りだわ、私ったら、ばかみたい。恋愛に性別は関係ないわよね、それなのに自分のことばっかり考えて、今まさに自分が実らない恋に苛んでいるくせに……ごめんなさい……」

 と。

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