※※第219話:Make Love(&Make Love!).13
ズ―――――――ン…
ようやく休憩に入れた屡薇は、パイプ椅子に座って周りが心配せざるを得ないほどに項垂れていた。
ちなみにスマホ(りんごのほう)を片手にしている。
大先輩のゾーラ先生と重ね合わせると、若干のデジャヴを感じなくもない。
「屡薇が項垂れてる…」
「普段から何にも考えてなさそうな屡薇が、珍しく本気で項垂れてるな……」
「何かのモノマネでもしてんじゃね…?」
「何か、今回ばかりはおれもそっとしとこ……」
心配しつつ見守るメンバーたちは、とりあえずこぞって隠し撮りとかしてみた。
いつもは世話を焼きたがるボーカルくんも、今回ばかりは見守りに徹するようである。
(やべえ……既読スルーって真依さんにされるとこんなにも凹むものなのか……)
初めての彼女からの既読無視に、屡薇のあっけらかんとした心は折れそうになっていた。
他の誰かにされてもまったく気にならないのだが、やはり彼女にされると項垂れるしかなかった。
既読をつけたら返してほしい、返せないならいっそ未読のままでいてほしいというのが、相手が恋人の場合の素直な気持ちだった。
(俺今までに、したことあったか?)
屡薇は反省の意味も込めて、彼女とのやりとりの仕方を振り返ってみる。
おそらく何度かしたことはあった、もう二度と真依にだけは既読無視をしないでおこうと屡薇は固く心に誓った。
現時点で、自分が送った内容についての反省はいっさいしておりません。
ふと、しょぼんとしたまま、スタジオの照明を見上げた屡薇は何かを思い付いたように携帯へ視線を落とすと、
“既読つけたら返事くれたっていいじゃない”
という内容の、しくしく泣いている感満載のスタンプを送っておいた。
これについては、やはり既読無視となったが、真依は思わず可愛い!とか思って大笑いしてしまった。
よって、悪あがきのスタンプを送るという反応を見せることで、屡薇はさらに項垂れることとなった。
まあ、これだけ堂々と既読無視をしてくると言うことは、明日は会いに来てくれるんだなということはちゃっかりわかっておりましたが。
もちろん、ピンクの袋とやらもしっかり携えた上で。
…――――目的や中身は一体、何なのだろうか?
ヴァンパイア役のPVから生まれた、疑惑の行方は?
新しくやって来る月曜日にも、やっぱり何かが起こりそうな予感です。
…――So happens that nice!
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