※※第205話:Make Love(&Beloved).120








 「あともう少しで、目標達成ですよ…!」
 息を呑んだナナは、真剣な表情で改めてシャープペンシルを握りしめた。
 向き合っているテーブル上のノートは、ご褒美ほしさのため一所懸命に解いてきた難問の答えたちで埋まっている。
 いよいよ明日から中間テストが始まります。

 ナナは本日はほとんどの時間をテスト勉強に費やした、すべてはくどいようですがご褒美のためである。
 勉強をせず花子と豆のお散歩に一緒に行きたいのも我慢して、時々ちょっかいを(←重要)出されることを至福の息抜きとしながら、テスト勉強に励んできた。
 薔からじわじわと与えられてきた試練という名のテスト範囲は、もうすぐばっちり終えようとしている。


 夕方のお散歩も済ませて大満足の花子と豆は、テーブルの傍らで寄り添ってうとうとしていた。



 「俺もおまえを応援するために変なもん描いてみた。」
 「はい?」
 突然、隣よりそんな嬉しいことを言われ、目をぱちくりさせたナナは彼のほうを見てみた。

 すると、ナナの数学のノートには、薔が彼女のペンを使って描いたザザえもんの絵と共にふきだしで“ナナちゃんの薔くんが応援してるよ!”と書かれていたのだ。
 テーブルを挟んで彼のちょうど目の前あたりには、ザザえもんのぬいぐるみがちょこんと置かれている。
 ザザえもんだから、変なもんなのか。




 ……ぶふぉっ!

 (か〜わいすぎる――――――――――っ!)

 うーっ、ぅーっ…(※のはもちろんこちらを描かれた薔ですよ!なエコー)

 やや遠回しにきた熱き応援と呼ぶべきか、ナナはひたすらキュンキュンしまくった。
 薔は彼女のために、例えザザえもんであろうとしっかり絵心を発揮したようで素晴らしい出来映えとなっている。


 「なんって可愛らしいことをしてらっしゃるんですかぁ!?ちゃんと伝わったよ!?ザザえもーん!ありがとう!」
 ナナは彼が描いたザザえもんを見ながら、しかと彼の気持ちを受け取った。

 「薔が応援してくださってるなら、頼もしすぎるよねーっ!?」
 そのままナナは、ノートのザザえもんに向かって続けていると、

 「……何か、今になってすげえ恥ずかしくなってきたな……」

 薔はふいっと顔を逸らしてしまったのだ。
 彼はどうやら耳まで赤くして照れているようだった。


 「どどどこまで可愛ければ気が済むんですかーっ!?」
 ナナのときめきは止まる処を知らない。

 「おい、覗き込むんじゃねぇよ。」
 「見たいので仕方ないです!覗き込みます!」
 「なら俺は死んだフリする。」
 「ぎゃわあああ!薔は可愛さでわたしを殺す気ですかーっ!?」
 「殺さねぇよ。」


 …――――――テスト勉強はどうなった(もうすぐ目標達成なんだよね)!?

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