※※第204話:Make Love(&Make Love!).11







 こけしちゃんのドキドキは加速する一方のなか、ひとけはほとんどない駐車場の隅へと車は停められる。
 運よくこんな目立たない場所が空いていて良かったと、醐留権は自分の日頃の行いに感謝をする。



 こけしちゃんは車を降りるタイミングを彼に合わせようと、ちらりと醐留権を見た。

 そのとき、

 「……悠香?」

 静かになった車内で急に名前を呼ばれ、思わずドキッとしてしまったのだ。
 それでもケーキは揺り動かさないようにと、本能で守り抜いた。


 「ここで少しだけ、君をつまみ食いしてもいいかい?」
 誕生日だからこその我が儘か、シートベルトを外した醐留権は彼女へと迫る。
 久しぶりのデートいうこともあり、彼はかなり我慢ができなくなっているのだと思われる。

 「でもぉぉ、ケーキがぁぁっ…」
 自分でラッピングした大きめの箱にきゅっとゆびを当て、恥じらうこけしちゃんのシートベルトも外された。


 「もちろん、差し支えはないように心がけるよ…」
 醐留権はそっと、耳にキスをしてくる。
 「……っんぅっっ、」
 こけしちゃんの躰はぴくんとふるえる。

 差し支えはないように心がけるとは言っても、感じてしまう、これではどうやってもこけしちゃんのほうが堪えなければならない。
 そんな彼女の手助けのつもりか、醐留権は片手を優しく重ねてくる。
 ひんやりとしていた手にやけに熱くなっていた手が重ねられ、勝るのはどちらか。

 求めてしまう心はどちらもおんなじくらいに熱くなっているけれど。


 ちゅっ…ちゅ…

 「あ……あぁっ、」
 リップ音を聞かせながら、くちびるは首筋へと伝い落ちてゆく。
 重ねられた手で、ゆびを撫でられる。
 動きは妖艶に、車体を揺らすこともないくらいおもむろに。

 「……んぅ…っ、」
 不意に顎を持ち上げられ、くちびるを奪われた。
 舌を絡められればますます感じてしまって困るのだが、吐息を漏らした隙に案の定舌は滑り込んでくる。

 「んぅぅ…ん、……っぅん、」
 普段着ることのないドレスに包まれた躰は疼いて、下着は濡れだしていた。
 ケーキの箱をふたりして守りながら、乱されてゆく。

 こちらも同じく以前に彼が贈ってくれた黒いパンプスのヒールが、フロアマットのうえを擦る。


 ディープキスは止められなくて、ここはホテルの地下の駐車場だということも忘れかけ、しばし夢中になっていった。

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