※※第168話:Make Love(&Engross).96










 欲しがりすぎて窒息寸前、離れ難い、指を絡めて。




 『エロチスムは死にまで至る生の称揚だ。
         ――ジョルジュ・バタイユ』













 「わお、仲良し夫婦、薔ちゃんは朝からおかゆなんだね。」
 豆を花子に預けに来た屡薇だが、美味しそうな匂いがしてきたためちゃっかりお邪魔してみた。


 「何でいんだ?」
 彼女と囲む食卓にて不機嫌になった薔ではあるが、“夫婦”にはまったく悪い気がしていません。
 炊きたてご飯に梅干しを乗せ美味しそうに頬張るナナは、キョトン。

 ちなみにナナさんは昨夜、土鍋をそのまま冷蔵庫に入れて保存しておいたようです。
 近年の冷蔵庫の容量の進化といったら。



 「まだいっぱいあるじゃん、俺も食っていい?」
 夫婦作戦に出た屡薇は、大きな土鍋の蓋を開け確認してみたのだけど、

 「駄目だ、触んな。」

 薔はとたんにそら険しい雰囲気となった。




 「だって俺今日、弁当届かねーんだもん。」
 何となく屡薇は、お粥の作り主を悟ることができたため慌てて蓋を閉め、

 「仕方ねぇな、俺が作ってやる。」

 かなり渋々だが薔が朝食を作ってくれる模様です!




 「薔ちゃんてそんなに俺のこと好きなの?」
 「俺はナナのことが死ぬほど好きなだけだ。とりあえず毒盛っていいか?」
 「うわぁ、すごいノロケきた、とりあえず俺黙っときます。」
 キッチンにて、ふたりの美形男子はいささか和気藹々でございますが(こけし姉さーん!)、

 ぶるぶるっ…

 真っ赤になったナナは、思わず口に入れた梅干しの酸っぱさもよくわかっておりません。


 ※(簡単すぎる前回のあらすじ)ヒロインは熱を出してしまった大好きすぎる最愛の彼氏のために、丹精こめて白いお粥を土鍋で5合分煮たんだよ!




 「すっげー薔ちゃんの愛を感じるわ…、俺もう感動しすぎてお腹いっぱいかも…」
 と呟いた屡薇は、お漬け物が乗せられたレンジでチンの大盛りご飯と即席お味噌汁とここでようやく手作り!目玉焼きを前にしており、

 「なら帰れよ。」
 「いただきまーす!」

 リビングにて美味しそうに頬張り始めた。


 “豆くん、もうちょっと落ち着いて食べなきゃダメよ?”
 “はーい!”
 わんこたちも仲良く一緒にご飯を食べております。




 「今日は一日中薔と一緒にいられますよーっ!」
 「おまえ今日はちゃんと勉強しろよ?俺が教えてやる。」
 「はいっ!」
 「わあ、俺もう空気になってる。」

 ……いたって平和そうな日曜日でございます!

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