※※第167話:Make Love(&Honeyed).95
ナナは何とか、さりげなくからかわれながらの懸命な説明を終え、彼は熱を計ってみることとなった。
もちろん、タイミングよく体温計を運んできたは花子でございます。
ピピピッ…
乙女たちがそれはそれは心配そうに見守るなか、わりと早く体温計は鳴り、
「大丈夫だ、あんま大したことねぇよ。」
と、ものすごく熱っぽい雰囲気で薔が言いましたので、ナナと花子も確認してみると…、
38.5度だった。
「大したことありますでしょ――――――――――っ!?」
「ワオ――――――――ン!」
「あ?」
乙女たちの心配度は増し、薔は至ってだるそうである。
そして、心配もひとしきりの乙女たちが息を切らすなか、
「ん――――…おまえの夢見てたせいか?」
枕にやや顔をうずめるようにして、鼻にかかる甘い声で彼は言ったのだ。
「あぁ、だとしたら毎日熱出してなきゃなんねぇか……」
……どふぅっ!
“ナナちゃん!しっかり!”
危うくノックダウン寸前。
「どーした?おまえも熱出したのか?」
「ちょちょちょっ、ちょっとあの、心臓が限界でして…っ、あああのっ、そっ、それにしても、今日は、学校がお休みでよかったですね!」
「ワン(ナナちゃん、ファイト)!」
一所懸命にナナは堪え、今日は看病に徹しようと固く決心したのだけど、
「今日は学校あるぞ?」
衝撃の事実を堂々と風邪声で明かされた。
「えええ!?そうなんですかぁ!?」
「昨日のホームルームで言わなかったのか?」
「薔のことばっかり考えてたので聞いてませんでした!」
「なら仕方ねぇな。」
……えーと、登校時刻とかいっさい気にしてないけど大丈夫なのかな?
「でででしたら、どうしましょう!?やっぱり、わたしだけでも行ったほうがいいですか!?」
経験から、ナナがそう確かめてみると、
「ばか言うんじゃねぇよ、」
熱を帯びた視線で見上げながら、やはり甘い声で薔は返したのだった。
「今日おまえを一人で学校行かせたら、俺、死んじまう…」
……どふぅっ!
“堪えるのよ!ナナちゃん!”
危うくノックダウン寸前、再び。
※昨日は百合の手が忍び寄りましたのでね。
「やっぱおまえも熱あんだろ?」
「ちょっと――――――っ!可愛すぎてわたし死んじゃいますよ――――――っ!」
萌えの限界もいいところで、ナナはとうとう雄叫びを上げた。
「だったら俺も死ぬ。」
「一緒に生きます!」
「あんまでけぇ声で一緒にいくとか言うな、」
「どへぇぇえ!?」
…このふたりは朝からただイチャついているだけで、コントとかをしているわけではございませんので。
[ 61/537 ][前へ] [次へ]
[ページを選ぶ]
[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]
戻る