※※第167話:Make Love(&Honeyed).95
手を繋いで、ぬくもりを感じるだけで、ほらもう、
そこはふたりだけの世界、
微笑み交わせば甘さに、とろけるほどの拍車が掛かる。
やってまいりましたは、土曜日の朝!
「んんん……?」
ナナはおもむろに目を覚ました。
覚えてはいないが、いい夢(とにかくオイシイ夢)を見ていた気がする。
そして、その何となくいい夢の余韻に浸る間もなく、ナナは朝から目をぱちくりさせ口をあんぐりと開けてしまったのだ。
はい、彼女に抱きついて静かに眠っている薔は、何と言いますか、若干でもなくかなり熱っぽい感じでございました(何てったって昨日とんでもない事件が起きたので)。
(えええええ!?色っぽい!!と言いますか、か〜わ〜いい――――――――――っ!)
とか言ってる場合じゃない!
心のツッコミによりお馴染みのエコーは遮られた。
(まままままさか、このひとお熱があるのでは!?)
真っ赤っかになって慌てまくったナナは、抱きつかれていることもあり手を彼の額に当てることは容易ではなかったため、
こつんっ…
おでことおでこをくっつけちゃった。
(熱いよぉぉぉぉおお!)
ちゃっかりどさくさに紛れているナナさんは、お久しぶりかのリトマス紙状態である。
(あわわわわわ!絶対にこのひとお熱出してしまわれてるよ!そしてかわいい!きれいだしいい匂いだし幸せすぎるーっ!ごめんなさーい!)
そのままどさくさに紛れつづけながら、慌てふためいたり萌え悶えたりと彼女が忙しなくしていると、
「ん……」
薔が、目を覚ましたようだ。
おでこにおでこをくっつけたまんま、ナナは微動だにできなくなる。
「おはよ…」
熱を持った雰囲気と甘い声で、薔は微笑む。
「おはっ、おはよぅ…ござぃ、ますっ…」
ドッキドキのナナは、そのドッキドキに合わせて朝のご挨拶。
そんでもって、
「ところでおまえ何やってんだ?キスでもする予定だったか?」
「いいいいや、あのですね、これにはっ、深いっ、わけが、ございましてっ…」
未だ抱きつかれているナナは、沸き上がりながらも一所懸命に説明してみたのであった。
「薔がっ、それはもうっ、色っぽくて…ですね、かわいすぎましてっ、あの、まさかと思い、はかっ、計って…みようと、わたくし、えっと、…おせんべい…ながら?」
ナナよ、それを言うなら“僭越”だよ。
「…よくわかんねぇな、おまえが可愛すぎることだけは確かだが、」
「どふぁあ!?」
……これはもう、朝からラブラブでございますね!
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