※※第198話:Make Love(&Pornography).116











 …――――着実に、確実に、堕ちてゆく、

 あなたの底へ。













 「あああ!わたしも一緒に行きたかったよーっ!」
 ナナはぼすんと、音を立ててソファへとダイブした。
 先日のうっかりで照れた彼氏が顔をうずめたほうの肘掛けに顔をうずめ、両足をバタバタさせてみる。

 “行くわよ?豆くん!”
 “うん!”
 花子と豆はすかさず、大袈裟なくらいにナナへとじゃれついた。

 「んあっ?くすぐったっ……あははっ……」
 ペロペロとほっぺたを舐められ、くすぐったさにナナは笑いだす。
 彼女の様子も見ているようにご主人さまより仰せつかった花子は、豆の子守りもあるため気が抜けないのである。

 「花子ちゃんと豆ちゃんも一緒に行きたかったよねーっ!」
 そのうちに、ガバリと体を起こしたナナはわんこたちをなでなでしながら同意を求めた。
 わんこたちは同意するかのように、並んで尻尾を振っている、豆のほうが明らかに高速となっているが。


 「こっそり後をつけて行きたかったよ…」
 溜め息混じりに、ストーキングしたかった本心を呟いたナナは、テーブルの上に置かれているピンク色(ピンク色……)のチラシを手に取り、輝く瞳で彼氏へとエールを送ったのだった。

 「薔っ!受かるといいですね!」






 ……肝心の彼のほうは、乗り気、というわけではありませんでしたけれど。
 じつは本日、彼女を家に残し(護衛役として花子は大張り切り)、薔は羚亜と一日アルバイトの面接に行っているのです。
 劇の稽古はまたしても、主演のふたりは不在で進められることとなった。
 部長さんの大笑いもなく初っぱなから稽古に励めた模様である。




 詳細については未だ明かされておりませんが、薔と羚亜は果たして何のアルバイトの面接に向かったのだろうか!?












 「花子ちゃん!」
 彼の面接の様子が気がかりでならないナナは、豆にじゃれつかれ始めている花子へと問いかけた。

 「ご、ご主人さまのシャツ……持ってきてもいいと思う?今日着てらっしゃったの……まだ洗ってないんだよ、お風呂場のほうにあるんだけど……」






 “私に聞かれても…”
 お座りをする花子は、豆にすり寄られながらナナを見上げる。

 「ぎゃあーっ!恥ずかしい!わたしは変態かーっ!」
 耳まで真っ赤っかにして、両手で顔を隠すナナは照れた。
 “ナナちゃんのテンションがおかしなことに…”
 困惑気味にナナを見上げていた花子は、解決策として、

 トロン…

 眠そうにしてみた。



 「はっ、花子ちゃん、眠いの?」
 未だ真っ赤で尋ねてくるナナの前、花子は努めて眠そうにしている。

 「よーし!一緒に寝よう!」
 作戦は大成功だったのか、みんなしてフローリングの上でゴロゴロし始めた。

[ 514/537 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る