※※第197話:Make Love(&Passion).115
「お腹が空いてたので、美味しいです!」
お肌の調子も絶好調のナナは美味しそうに、主に彼氏が作った朝食を頬張っていた。
一睡もしてはおりませんが、体調も何から何まで絶好調であります。
「朝までしてたもんな?」
彼女の食べっぷりに微笑む薔は、わざとらしく言葉にして返してくる。
耳まで真っ赤っかとなったナナは、急に大人しくなってちょっと俯き、それでもご飯を食べるペースを落とすことはしなかった。
朝食の支度に取りかかる前に一緒にシャワーを浴びて、念入りにかき出された中がまたじんじんと疼き始める。
抑えようとは思ってみてもどうしようもなく、彼を熱く憶い出してしまったようだ。
キッチンには美味しそうな匂いが漂い、ナナはもじもじし始める。
そんな彼女の様子を、薔は愛おしげに眺めている。
これが日常だった。
花子と豆も、仲良く朝ごはんを頬張っている。
“ぼくは花子ちゃんのがほしい!”
“中身はおんなじよ?”
がしかし、花子はまたしても豆にご飯を狙われちょっと困っているようであった。
――――――――…
「いい!?今後彼らに対して、余計なことはいっさいしないように!」
朝から険しい雰囲気で、その女性は叱咤した。
「すみません…」
事務所の社長室にて、ほとんど一睡もしていない初日はうなだれた。
社長さんにはもっと早くに把握しておいてほしかったところでもある。
「今回のことは記事にはされなかったから、よかったものの、次勝手なことをしたらあなたたちはこの世界では二度とやっていけなくなるから、しっかりと肝に銘じておくように。」
腕を組み、厳しく険しい雰囲気でつづけていた女社長は、
「ああ〜、それにしても、あのハスキーヴォイスには痺れたわ……」
急にうっとりと溜め息をついた。
「はあ…」
記事にされなかったことは初日にとってもありがたいのだけど、何が何だかさっぱりわからずにいる。
「あなたは仕事をしなさい!」
「はっ、はいっ!」
ビシッと促された初日は、慌ててスタジオに向かうべく社長室を後にした。
社長さんはきっと必死になって、謝罪をしてくれたのだと思われます。
にしても、しつこいようですが、こんなに厳しい女社長さんならもっと早くに把握しておいてほしかったな。
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