※※第188話:Make Love(&Make Love!).10








 屡薇と真依は別々に、温泉へ入った。
 彼のほうはほんとうは部屋の露天風呂へ入りたかったのだが、真依が断固として恥ずかしがったため別々となりました。


 部屋はオートロックとなっている。
 鍵を持っているのは屡薇だったため、ロビーで待ち合わせをして、湯上がり浴衣姿のふたりは一緒に部屋へと向かった。




 (お、怒ってるのかな…?)
 部屋に戻るまで屡薇は一言も口を聞かなかったため、ドキドキしながらも真依は不安になってしまった。
 こんなことなら一緒にお風呂入っても良かったな……と考えた後にそうじゃないでしょ!と心の中で自分にツッコミを入れる。




 そして無言のまま、引き戸は閉められふたりは部屋の中へと。

 真依は何か、他愛もないことでも口にしてみようかと決心した瞬間、

 「もうダメ…思ってた以上に真依さんの浴衣姿、可愛すぎた……つうか、エロい……」

 ぎゅっ――――…

 突然後ろから、抱きしめられていた。

 頬が瞬時に熱くなった真依は、何かを言い返そうにも言葉が出てこない。
 くちびるは、微かにふるえるのに。


 畳の上に敷かれた布団は、きっと、一組で足りていた。






 「ねぇ、真依さんも俺に会いたかったよね?触れてほしかったよね?」
 彼女の素直な気持ちを手繰り寄せるように、後ろから耳もとへ吐息で触れて確かめ、屡薇は真依の頬へゆびの背を滑らす。

 「あ……」
 真依は甘く、声を漏らした。
 肌を滑る彼のゆびがこんなにも気持ちよくなかったのなら、きっと自分は素直に「会いたかった」と伝えられていた。


 「俺はずっと、会いたくて、触れたくて仕方なかったよ…」
 屡薇はゆっくりと、ゆびさきで彼女の浴衣を目指す。
 素肌を隠すようにしっかりと、それでも彼のゆびの前では頼りなく重ね合わせられた部分へと。

 「全部剥いで……全部に触れて、真依さんの頭ん中俺でいっぱいにしたい……」
 囁かれる。
 甘く抱きしめられて、逃げることは叶わない。



 そんなの、もうとっくに……

 言い返す間もなく、顎を持ち上げられ覗き込むようにしてくちびるが奪われた。




 「ん……」
 真依の浴衣はゆびで引っ張られ、薄暗がりのなかで少しはだけ、妖艶な谷間を浮かび上がらせた。









 …――――美しき獣たちは夜に牙を剥く?

 深まり濡れながら、次話へとつづきます。















  …――It becomes moist and deepens in the night.

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