※※第183話:Make Love(&Vehemence).106













 にまにまとしながら、真依は仕事に励んでいた。
 表情には出さないようにと途中で気づくのだが、最終的にはふにゃんとしてしまっている。

 同僚やお客さんに、「何かいいことあった?」と聞かれるたびに彼女は顔を真っ赤にして全否定をするため、皆さんは「ああ、いいことがあったんだな」と口には出さずとも納得しております。


 (う〜!早く月曜日にならないかな!)
 浮かれ気分で、ソワソワする真依は、休日である月曜日は彼のライブのために遠征することとなっていた。
 大きな鏡に映る彼女の表情は、じつにふにゃふにゃでございます。

 彼氏の屡薇も今頃は、じつにふにゃふにゃとリハーサルに励みながらメンバーの気を散らせていることでしょう。
















 ――――――――…

 「あっ!ハリーさんと葛篭先生から、お手紙が届いてました!」
 この日、劇の稽古も無事にかは部長さんの大笑いがあるためあまり定かではございませんが、帰宅をしてみると集合ポストのなかには上品な封筒が入っていた。
 手にしたナナは、きっと結婚式の招待状だとワクワクでございます。

 「すぐにお返事を書きましょうね!」
 と、隣の彼を見上げると、

 「バカだな、おまえ、」

 薔は堂々と返した。

 「欠席の場合は、すぐに返事を出すもんじゃねぇんだよ。」







 ……えええええ!?


 「こらですよ!」
 「あ?」
 ナナは声を張り上げた。
 ふたりは只今、エレベーターが一階へ降りてくるのを寄り添って待っている最中である。

 「何をおっしゃるんですか!?出席するに決まってるじゃないですか!びっくりしちゃいましたよもうっ!」
 辺りに響くほどに、ナナが力説をしていると、

 「おまえ…」

 薔は突然、真剣な眼差しを向けてきた。


 まさかご機嫌ななめなのかと、内心ではかなりときめいちゃったナナがゴクリと息を呑むと、

 「やっぱ怒ってる顔もすげえ可愛いな。」

 さらりと彼は告げたのだ。




 「はははは恥ずかしいんですけどーっ!」
 「恥ずかしがってる顔もすげえ可愛いぞ?」
 「きゃわあああ…!」

 ふたりがイチャついているあいだに、一階へと降り立ち扉を開けたエレベーターは恥ずかしげに扉を閉めまた昇っていってしまった。


 「仕方ねぇな、階段で行くか、」
 よって、15階まで階段で行くことと相成りました。

 「今日は途中でエッチなことしちゃダメですよ!?」
 「そいつはおまえ次第だろ。」
 「んええ!?」
 ナナは真っ赤となり、手を繋いだふたりはゆっくりと階段を上っていったんだとさ。

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