※※第181話:Make Love(in Landing).104
ショートホームルームも授業も滞りなく進み、やってきた休み時間のこと。
(新キャラって誰なんだろう?気になるなぁ…)
ナナは興味津々と、机の下からこけしちゃんの禁断ノートを取り出して見ていた。
いっそここで、少しだけでもページを捲ってしまいたかったのだが。
ひょいっ…
熱い視線を落としているといきなり、そのノートは奪い取られていた。
「あああっ!」
無論、ナナにそんなことができるひとはひとりしかおらず、
ぱらっ…
彼女の隣に座っておそろしいほどの無言で、薔はページを捲り始めている。
「ちょっと!先に読んじゃダメですよ!」
ナナが必死になって引き留めたい理由は、そこにあるらしい。
「…桜葉には悪りぃが、焼き払ってもいいか?」
「ダメですってばーっ!」
「ナナちゃぁん、もうちょぉっとぉ、左手下で掴んでほしかったなぁぁ…」
こけしちゃんはさっそく休み時間に、スケッチを開始していた。
「ゾーラ先生ぇだと注文がぁ、つけられるんだけどぉぉ…」
ゾーラ先生は職員室にて、何かしらを感じ取って眼鏡を弄りながら「?」。
しかしながら、この日。
「えーっ!?羚亜くん、今日は一緒に帰れないの!?」
2-1の教室では、バカップルに修羅場が訪れようとしていた。
「うん、ごめんよ、愛羅さん…、ちょっと寄るところがあって…」
彼女があまりにも残念がっているため、朝は絶好調だった羚亜だが消え入りそうな声で申し訳なさげに返す。
「まさか、こないだのヤツとデートとか!?」
「えええええ!?どうしてそうなるの!?」
愛羅のなかでは、その勘違いは未だ根強く残っていたようで、
「だって羚亜くん、可愛いから心配なんだもん!」
彼女は思い切り強く、彼の腕を引っ張った。
バッ――――…!
その手を勢いに任せて、振り払ってしまった羚亜は、
「愛羅さん、いい加減にしてくれる…?」
やるせなくて、俯いて、いつもより低めの声でぶちまけてしまったのだ。
「俺だって傷つくよ?男なんだからさ……」
「羚亜くんっ…!」
予想に反してか、愛羅の瞳は輝きを増した。
「すごくかっこよかった!今のもう一回やって!」
「ええ!?もうできないよ!って、えっ?かっこよかった!?」
「うん!」
羚亜の機嫌はたちまち元通り。
修行?にもさらなる意気込みが湧いてくる。
修羅場、とお伝えいたしましたが、とうとう訪れはしませんでした、修羅場は。
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