※※第177話:Make Love(&Make Love!).9






 出かける前にもしたのに……淫らな気分は止められない。
 待ち焦がれていた快感が奥深くまで迫りきて、挿れられてすぐにナナは達してしまった。


 ズプッ…ズプッ…

 「は…っ、あんっ、あ…っ、あ…っん、」

 しかもその快感は何度でも、最奥へと突き立てられる。

 腰が砕ければ、強く引き寄せられまた深くへ。




 「やらし…おまえまだ潮吹いてんぞ?」
 壁に掴まる彼女の左手へと左手を重ね、撫でながら、薔は右手でナナのトップスを捲り上げてゆく。

 「あ…っあっあ…っあ、はん…っ、あ…っ、」
 自分ではその感覚はあまりよくわからないのだけど、

 ビュッ…ビュッッ――…

 確かにピストンに合わせて、ナナは幾度となく潮を吹いていた。



 「……っ、何度吹いてもきれいだな、堪んねえ…」
 躰をふるわせた薔は重ねた手にゆびを絡め、ブラジャーのホックを片手で外してしまうと、

 くにゅっ…

 乳房を愛撫し始める。


 「あっっ!」
 ナナはまたまた、達してしまい、

 「……胸もずっと、弄って欲しかったのか?」
 彼はゆびで、汗に濡れた乳首を擦って弄くる。



 「ん…っ、んっ、」
 ナナは気持ちよくておかしくなりそうでも、小さく素直に頷いて、

 「ほんと、よく待ってられたよな…」

 グチッッ――――…!

 薔は腰づかいを速めた。

 「いっぱいご褒美くれてやるよ、」







 「あああっっ!」
 ナナはまたしても絶頂を得る。

 パンッ…パンッ――…

 イっている間もふたりは激しくぶつかりあい、玄関にはそれは淫靡な音が響き合っている。




 「あ…あっあ、はっ、あああっっあ、あ…っ、」
 ナナは思い切り躰を反らすと、

 「あっ…あああああぁぁっっ!」

 立て続けに、戦慄き、絶頂を得たのだった。





 「…――――っ!」
 ほぼ同時に、躰をふるわし薔も中へと射精した。




 「あ…っ、ああぁ…あっあ、は…あっ、あっっ…」
 子宮目掛けて注がれ、痙攣したみたいにふるえるナナはしばらくイキつづけ、

 「ナナ…こっち向いて?」
 「あっ…っん、」

 ぐいっ…

 後ろから容赦なく突きながら、薔は彼女の顔を自分へと向けさせる。


 ふたりのくちびるは触れあいそうなほどに近づいて、吐息は交ざり触れあって、

 「おまえが、可愛すぎるから…」

 甘く視線を絡めた薔は、覗き込むようにしてくちびるを重ねてきた。

 「ごめん……意地悪したくて仕方ねえ……」








 …ッ…くちゅっ…

 くちびるからも、熱を伝えあう。

 謝るなんて、彼はずるい、ナナだって薔には意地悪されたくて仕方ないというのに。

 「……っ、は…っん、」
 もっと、熱を流し込んでと、切なく願うことを止められずに何もかもを、絡めていった。














 ――――――…

 ぎゅっ…

 明日の朝早くに日本を発つ夕月は、外からの明かりだけのオフィスで一人、右手を握りしめた。

 視線を落とし、彼は物憂げに右手を見つめる。

 やがて、

 「はぁ――――――…」

 ため息をついた夕月は、とても意味深な言葉を口にしたのだ。

 「“あの時”……突き放したことを、俺は後悔してねえ……」


 まるで自分に、言い聞かせるかのように。















  …――Though it's so, you seem sad.

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