※※第171話:Make Love(&Pain).98
「今回、この台本を書いたのは、わたくし箕島でございます!」
箕島くんは、わりとキリリとした眼鏡男子だった。
そもそも箕島くんが書いたなら最初から説明は箕島くんがやれば良かったのに。
「少女漫画を読むのが小さい頃から好きで、書いてみると案外すらすら書けたもので大作を仕上げてみたのですが…」
副部長こと箕島くんは、わりとキリリとしたまま自分の嗜好についてまで暴露すると、
「そもそも自分、カップルを眺めるのが、好きでして、特に少女漫画に登場するような微笑ましいカップルを眺めるのが、この上なく好きでして、あの、それで、えっと…」
だんだん鼻息を荒くし始めた。
(……もしや、副部長も変人だったのか?)
周りはそう思っている。
そんでもって、箕島くんはついに言っちゃった!
「サッ…、サインください!おふたりの!」
「あ?」
「えええ!?」
「あっはっは!なにこの展開!」
サインについてはそのまま流され、この演劇部は部長さんも副部長くんも変人なんだなということが判明いたしました。
そんななか、
「今回も内容はいくつかおかしいな、おまけにロスタンのパクりじゃねーか。」
台本を読んでいた薔が、一刀両断したのである。
「よくご存知で!」
「つうことはやっぱパクりなんだな?」
箕島くんは大感激。
周りのウフフも高まり、
(ろすたん…?)
ナナはキョトン。
ここで、今回の劇の内容をご説明しよう。
主人公は豊かな才能も強さも持った、それはそれは類なき美男子である。
しかし彼はその美しさのあまりけっこうな勢いで目立つため、普段は顔を隠して生活をしている。
そんな彼にはずっと想いを寄せている女性がいたが、顔を隠している自分には実はとんでもない不細工だという噂が立っているため、彼女には見向きもされない(なにげにひどい話だな)。
そのうちに、彼女は自分の親友のわりと地味な剣士(←箕島くんが演じる予定)といいカンジになる。
だが、詩的センスがゼロに等しい親友は、詩的センス抜群の主人公に手紙を書いて毎晩彼女へ読んで聞かせてほしいというけっこう図々しいお願いをしてくる。
渋々引き受けた主人公が、彼女に素敵な恋文を読んで聞かせたところ、彼女は何よりその手紙に恋心を抱くようになるのだった――――――――…
……明らかに元ネタは『シラノ・ド・ベルジュラック』だ!
逆パターンの、主人公が美男子できましたけどね!
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