※※第170話:Make Love(&Healing).97











 赤く染まるか、黒く堕ちるか、
 それとも白く塗り潰すか。

 何の色もなければ永久は、

 透き通るように全てを貫いたのだろうか。














 猫プレイでヤりまくった後には仲良くシャワーを浴びて、花子と豆のお散歩に薔が行っているあいだナナはリビングにてテスト勉強に励んでおりました。

 ところが、彼がお散歩を終え帰宅すると、ナナはフローリングに横になりすやすやと眠ってしまっていたのです。
 まあ、いっぱいエッチしちゃったんで無理もないかもしれない、と言いますことで薔は彼女を抱きかかえると(お姫様だっこね)寝室まで運んでいきました。
 花子と豆はお散歩に大満足の様子で、リビングで仲良く寛いでおります。






 ふわり…とやさしく彼女をベッドに寝かせると、微笑んだ薔はそのあたまをそっと撫でてからリビングへと戻った。













 そんでもって、これから彼は夕食の支度に取りかかるところであったのだけど、

 カタンッ…

 ふと、ベランダで、微かな物音がした。



 ご主人さまと同時にそちらを見た花子は、吠えようとはしない。
 それどころか、微動だにせずただじっと音のしたほうを見つめている。

 異様な雰囲気を覚った薔は、静かにベランダのほうへと向かっていった。






 シャッ――――…

 カーテンを開けると、真っ先に飛び込んできたのは夜の街に輝くネオンたちだった。

 しかし、視線を落としてゆくと、

 「…――――――――!?」

 薔はすぐさま窓を開け、そこに倒れていた人物へと駆け寄り抱き起こしたのだ。

 「おい、大丈夫か?」








 「ああ…、薔ちゃん……たぶん大丈夫…」
 掠れる声で笑った屡薇の腹部は、痛々しいほどに赤く染まっていた。

 「何でだろ…、気づいたら、親父がここまで運んできてくれてた……」
 「わかったから、今は無理して喋んな、」
 屡薇はと言えば、父親が自分のことを気にかけてくれていたのが嬉しいと言った様子で、

 「にしても、あいつ一体何なんだよ…、俺のおかげでいい再会がどうのこうのとか…言ってきたかと思ったら…、あの子に近づきすぎたとか言って…刺してくるし、マジでわけわかんねぇ……、この季節に暑っ苦しいコートだし…、変なやつ……」

 腑に落ちない様子で、呟き始めた。


 「おまけに…、“愛してる”って…、誰に伝えりゃいいのか…」

 ここまで、まるで独り言のように続けた屡薇は、

 「……薔ちゃん…?」

 ふと、急に黙り込んだ薔を見上げ、声を掛けたのだった。

 「何で……薔ちゃんのが…、死にそうな顔してんの…?」












 …――――屡薇はまだこのときは、知る由もなかった。
 その言葉を伝えることを、まっとうしてしまったということを。

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